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2004.10.31
< 「恋」評その4・次回お題発表 >
遅刻してますか?
私はきのう、ある大好きな著名人の「赤ちゃん誕生お祝いパーティ」に1時間40分くらい遅刻してしまいました。会場に着いたら、もう終了間際。でも、生まれたての赤ちゃんを心ゆくまで抱かせてもらって満足です。
……またつくろうかな。
なんか風邪が完全に治っていないのか、スイッチが切れたように深く長く眠り続けてしまいます。『かんたん短歌blog』も金曜日更新が基本なのに、もう日付は日曜日になってしまいました。遅刻ごめんなさい。
だけど枡野浩一と河井克夫がニセ双子ユニット「金紙&銀紙」として出演した、松尾スズキ監督映画『恋の門』をいまだに観てくれてない人も多いみたいだし、お互いさまですよね(屁理屈)。
『恋の門』関連の短歌、傑作はゼロでした。金紙&銀紙サイン入り『恋の門』グッズのプレゼント当選者は、なしです。残念無念!
金紙&銀紙の早稲田の学園祭への出演、着々と準備が進んでいます。短歌募集は完了しましたが、当日お目にかかりましょう!!
*
今週は「209」の投稿を拝読しました。
遅刻したせいで、久々に200を超えましたね。
今週はまず、ふたつのご質問にお答えします。
昨日までできてた事が一つずつできなくなっていくような恋 (森文月)
この歌の漢字とひらがなのつかいわけについて、ご質問がありました(blog参照)。
私だったら、
きのうまでできてたことがひとつずつできなくなっていくような恋
というふうに「恋」だけ漢字にすると思います。墨絵に1カ所だけ朱をさすように。
「昨日」は「さくじつ」「きのう」と読み方が複数ありますが、そういう場合私は振りがなが嫌いなので、ひらがなにひらいてしまうのです。
漢字と仮名のつかいわけを、いかにも繊細な感性で取捨選択しました……という感じの短歌は自分ではつくらないように気をつけています。そういう文学フェチっぽさは下手をすると「うっとり感」につながりやすいからです(今、この瞬間、たくさんの歌人を敵にまわしています)。まあ、下手をしなければいいのですけどもね。
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満員の電車で見える風景は君への恋はいつも動詞で (本所飛鳥)
もうひとつの質問ですが(blog参照)、本所飛鳥さん、この短歌は「君への恋はいつも動詞で」というレトリックにしか読みどころがなく、そのかなめのレトリックに前例がある場合、残念ですが読みどころがゼロに近いと言わざるをえません。
むろん、前例をふまえて、アレンジするという方法もあるとは思います。
私はごくたまに作詞の仕事をしています(最近は休業状態)。デビュー作は『とりかえしのつかない二人』という曲で、ごくごくたまにカラオケにも入っています。その歌詞の冒頭に出てくるセリフは、穂村弘という歌人の代表作の一部に似ていますが、じつはそれをもとにして書いたのではありません。銀色夏生という詩人の作品にも酷似したフレーズがあり、吉田戦車という漫画家の作品にも酷似したセリフがあり、……なぜそういうことに私が気づいたかといえば、あれが私の好きだった実在の人物の口にしたセリフだったからです。
私がその歌詞を世に出そうとした時点では、「前例」が少なくとも3つもあったわけですから、「真似」とか「ぱくり」とか「オマージュと言えばゆるされるとでも思ってるのか」とか言われても、仕方なかったとは思います。が、それらの「前例」をふまえつつ、私なりのストーリーを描くことができている……という自信があったので、レコード会社の人には「出だしのセリフには前例があります」ということは伝えたうえでCD化してもらいました。
でも、「この出だしのセリフだけがいいよね」というリスナーがもしも存在するとしたら、その人にとって「枡野浩一の歌詞」の価値はゼロに近い。
作品は世に出したら一人歩きしますし、すべての受け手に言いわけをしてまわるのは不可能だし、常に解説こみで作品を味わってくれと強要するわけにもいきません。
……前例をふまえて、あえて作品を世に問うということは、そういうリスクを背負っていくことだと思います。以前よく投稿してくれていて、最近お名前を見なくなってしまったオカザキなをさんに、あのとき私が言いたかったのは、そういうことです。
*
さて。投稿へのコメントに移ります。
外に出すのが愛なのか中で出すのが愛なのか迷って出した (佐々木あらら)
迷って出したって……どっちに?!
先週の投稿作の改作ですが、性交……じゃなかった、成功していますね。
おやじな駄洒落で対抗してみました。
名も知らぬ花のままいてほしかった イヌノフグリと初恋の君 (佐々木あらら)
つまり初恋の君がイヌノフグリと口にしたのですね?
それとも、イヌノフグリを口にしたのですか?
……おやじなリアクションが癖になりそうです。
真ん中が見えてないから恋になる 縦に書かれた「変態」だって (佐々木あらら)
うまい……。
「恋」と「変」を扱った投稿は多かったけれど、あららは座布団1枚うわてでした。
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めくられて裏がえされてはがされるココロのことを恋というのだ (響乃)
決めつけられてそんな気もする。
以後どうぞお見知りおきをわたくしは恋になるかもしれない光 (響乃)
そうでございますか……。
わたしには恋ができない細胞と空をとばない円盤がある (響乃)
響乃さんは筆名が変で、もったいないな。名字をつければいいのに。
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午前5時恋と一緒に葬って わたしたちもう生まれたくない (英田柚有子)
「わたしたちもう生まれたくない」という後半が秀逸。
前半はちょっと曖昧だけど、これは「何を」葬ったのか……ということをわざと書いてないんだよね?
いろんな深読みができそうですが、単なる言葉足らずにも見えるし、難しいところです。
皆さんの意見も聞かせてください。
恋しいと泣いてみたってやり直すことはできない 歌をうたった (英田柚有子)
とてもベタなんだけど、ふと目にとまる歌です。
「恋しい」という言葉を印象的につかった投稿作、ほかにはなかった気がする。
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フリをしてキミを早めに終わらせて 9時からベタな恋ドラを見る (樫子麻理)
ベタベタなんだけど、あららの隣に並べたら似合うかなと思って選びました。
『かんたん短歌blog』の単行本の構想を練っています。
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もう会うのはやめにしよう「か」 と言ってるうちは、その恋は終われないんだってば (千華ぞの)
七五調にまとめてくれたら、よかったなあ。
推敲して、再投稿してみてください。
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もう少し受験勉強できたなら いい恋だってできただろうに (森田利絵子)
なんか意見に説得力があった。
でも、この主張をより的確に伝える言いまわしが、もっとほかにありそう。
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ひとりでは育てきれない恋なのでちゃんと自分で堕ろすつもりです (平賀谷友里)
それは悲しい……でも決めたんですね。
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恋人が私の中で座禅しているので常に気がかりなのだ (安藤三弥)
それは気がかりだ。なぜ座禅……。
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恋という文字をしばらく書いてない この先ずっと書かないのかな (ニ路めめん)
素直すぎて新鮮だった。
1文字あけの仕方が変だったので私が勝手に整えました。
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試さずにダメだとわかってしまうほどお前は恋の天才なのか? (葉苗あつこ)
自分自身へのハッパとして、よく出来ています。
お金になりそうな短歌。
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一身上の都合によってこの恋は本日をもって終了します (高橋えっくす)
これは惜しい。
前半の定型文ぽいノリを活かすなら、全体的にもっと厳密な言葉選びをしないと。
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工事中の道の横揺れで恋をして、もうとまりますいつもの場所に。(黒田)
句読点には頼るのは最後の手段にしてください。
なんか気分はわかる歌。
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アスパラがいいねトマトがいいねって味には触れないようにする恋 (丸山太一)
これは「恋」という一語で全体をまとめているのは着地失敗。
アスパラがいいねトマトがいいねって味には触れないようにしていた
といった感じで仕上げたほうがいいと思います。
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この恋に栞はさんで閉じておこう いつか読む日が来ると信じて (小野伊都子)
いつか読む日が来るといいよね。
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というわけで「恋」というお題は、これでおしまい。
『かんたん短歌blog』の単行本には、「恋」の歌はどれくらい収録されるでしょうか。
今、編集部と相談してブックデザイナーを決めているところです。
ものすごくタイトなスケジュールに対応できる、やる気と暇と才能と枡野浩一への愛がある若手デザイナー、どこかにいないかな……。
皆さん、枡野浩一の本の中では、どのデザインが好きですか?
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来月のお題は「本」にします。「本」「書籍」「ブック」などを詠みこんでください。
『かんたん短歌blog』単行本化にちなんで。
2004 10 31 03:01 午前 | 固定リンク | トラックバック
2004.10.23
< 「恋」評その3 >
風邪をひいてしまいました。
風邪をひくのは何かをあきらめた時だと、昔も何かに書いたことがあったと思いますが、皆さんあきらめてますか? 私、何をあきらめたのでしょう。……恋?
枡野浩一と河井克夫がニセ双子ユニット「金紙&銀紙」として出演した、松尾スズキ監督映画『恋の門』、もう観てくれましたよね?
そのわりには『恋の門』関連の短歌が少ない。このままだと、金紙&銀紙サイン入り『恋の門』グッズのプレゼント当選者は、なしです! 急いで!!
金紙&銀紙は早稲田の学園祭にも出演しますので皆さん、そっちにも短歌送ってやってください。ケータイサイトから短歌を投稿できます。
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今週は「199」の投稿を拝読しました。微熱の中。
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昨日までできてた事が一つずつできなくなって行くような恋 (森文月)
なるほど。
恋ってなんかそういう感じ。
「事」「一つ」「行く」などの漢字のつかいかたが、私の趣味と一々ちがいますが、熟慮の末の結果?
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日曜の昼はビールと決めている 恋の話は聞きたくないよ (英田柚有子)
広告コピーにつかえそうなので選びました。
商品は、ハートランドビール。
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恋人はいるのいないのいましたかいればいいのにあきらめるのに (響乃)
ちょっと! 落ち着いてくださいね!!
でも恋する人の狂った感じがよく出ています。
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このドアを出てくあしたの朝もまだどうか恋ではありませんように (平賀谷友里)
そんなこと願ってしまった時点で、もう手後れです。
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もうずっと黄色い線の内側にさがって恋を待ちつづけてる (野良ゆうき)
……手後れです。
ミラクルで奇跡みたいなミラクルで奇跡みたいな恋だったのに (野良ゆうき)
ちょっと! 落ち着いてくださいね!!
ミラクルと奇跡は同じミラクルと奇跡は同じです。
井上陽水が歌った「金属のメタル」あたりを真似てませんか?
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ジージーと鳴るカミソリを使ってて これは恋する音だと思う (樫子麻理)
広告コピーにつかえそうで、つかえなそう。
風邪ひくと小さい音に過敏にならない?
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恋だけはベツバラですの 大概のことに飽きてる人生だけど (古川亜希)
「ベツバラですの」……そのあまりに下世話すぎる言い方に心動きました。
広告コピーにつかうなら、商品は、ダイエットシュガー。
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寄り道をすることが好きになっていく恋はおまけのほうが楽しい (小野伊都子)
広告コピーにつかうなら、商品は、グリコ。
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外に出すのが愛なのか中で出すのが愛なのか うかがいながら (佐々木あらら)
というわけで最後は「恋」ではなく「愛」を詠み込んでくれた佐々木あららの新作。着地のフレーズは推敲の余地あるんでは?
来週月曜日、『かんたん短歌blog』の単行本の打ち合せをするんだけど、あらら短歌に頼ったような本づくりにするかも。本の売れ行きは、あららにかかってます。
新作、たのむ。
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では、また来週。
2004 10 23 11:35 午後 | 固定リンク | トラックバック
2004.10.16
< 「恋」評その2 >
皆さん飲んでますか? 世の中って、しらふではとても耐えられない、つらいことだらけですね。
なんか私の知らないところで佐々木あららがオフ会をやったりしてるらしいですけど、吉祥寺でやるなら私も呼んでほしかった……。どうせ俺なんか仲間はずれ、はてなダイアリーでも嫌われ者のロンリー歌人ですよ……。
この荒れ果てた心と暮らしを立てなおすため、ついにアルバイトの人を頼むことにしました。ココログ住人でアルバイトに立候補してくれた人、ありがとう、ごめんね……前からの知人に頼みました。短期間ですが男子ひとり女子ひとり、ふたり同時に来てもらう予定。吉祥寺の街で女子または男子と仲よく歩いてる枡野浩一を見てもカップルだとか思わないでくださいね。そして恋を告白したいなら、枡野浩一が弱ってる今がチャンス!
そうそう、枡野浩一と河井克夫がニセ双子ユニット「金紙&銀紙」として出演した松尾スズキ監督『恋の門』は、もう観てくれました?
みんなで『恋の門』を観て、恋の短歌を投稿しよう!
※武山忠司さんの絵は実際の映画の内容とは必ずしも一致していない、比喩としての絵です、夜露死苦!
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今週は「190」の投稿を拝読しました。しらふで。
先週のレベルはひどかったけれど、今週はまあまあでした。甘い目で見て、多めに紹介します。
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家を建てるなら恋した人と住む しっくり来る感じが良いかも (PDP)
出た。PDPさんです。
家を建てるなら恋した人と住む。当たり前のようで、改めて言われると変です。
しっくり来る感じが良いかも。って言われても……。
ちっとも七五調にする気がないのは相変わらずですが、全然しらふでないっぽいあなたに完敗。
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どこにでもありそうな恋だったのに同じものが見つけられない (小島けいじ)
「同じ」は「おんなじ」と表記してもよかったですね。
平明な言い方で、普通のことを言っていて、それでいてどこか新鮮です。
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綿菓子のように明日には溶けていく恋食べているべたべたの手で (小野伊都子)
いいぞいいぞ、恋はべたべたしてなくっちゃ。
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次がまだ始まらないからこの恋を捨てないでいるだけなんだから (平賀谷友里)
もうそんなこと考えてる時点で終わってます恋。
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恋をしなければ気づかなかったけど自分の鼻の形がイヤだ (伊勢悟史)
あー。相手の鼻も気になるよね。
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思うように動かなくてメロディーがうまく弾けない恋の日でした (本所飛鳥)
前半、字足らずをなおすと、なおいいです。
Hな歌である気もする。僕が酔ってるから?
*
飲みさしの私の缶が君の手に 滝は溝まで光ってた恋 (秋野道子)
風景描写で恋を伝えようとしてる意欲に1票。
*
病巣はきみにみせない表層であこがれているふりをする恋 (響乃)
こんがらがってて抽象的すぎるけど、なんか気持ちはわかる。
ここからスタートして、こじれてるのをほぐしていってください。
棺桶のかわりに買ったワンルームこれから恋が来ることもない (響乃)
その諦観があれば、かえって恋が来るかもよ。
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もう恋ができないようにした猫と暮らしています 元気でいます (英田柚有子)
今週一番気になった歌。
こう言われると、世の中は恋のできない猫だらけだね。
とてもしらふではいられない。またたびが必要。
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恋敵みんな殺してしまっても君に好かれるわけじゃなかった (葉苗あつこ)
それはそうだ。「普遍的」すぎて前例があるような気がする歌。一応挙げておきます。
*
どうしてもあなたが今の恋人と幸せになどなっては困る (きりしま)
あなたが今の恋人と幸せになどなっては、とてもしらふではいられない。
*
この胸の炭酸みたいにしゅわしゅわとなる感覚が恋なのかしら (幸田)
ただの胸焼けじゃないかしら。
運命の出会いと毎度感じるの 恋ってそういうものだからかな (幸田)
そういうものだからじゃないかな。
梨がりに行って何も取らずに帰る ああ僕は今恋をしている…! (幸田)
「…!」がなくても充分、狂ってることはわかるので安心して。
ほんとに恋なら、まだいいけど。
*
恋だって言っておきなよそうすれば誰もバカだと思わないから (野良ゆうき)
そうなの? 今夜の僕がいつも以上に変なわけは、恋です。
片手間でおやりなさいよ恋くらい手相も見ずに新宿の母 (野良ゆうき)
いつも全力でやるから駄目なのかな……。
ああこんなところに恋があったって拾ってみたらやっぱり恋だ (野良ゆうき)
見分け方のコツがあるの?
*
苦しい恋の歌は面白いねえ……。
以上です。
また来週。
2004 10 16 12:37 午前 | 固定リンク | トラックバック
2004.10.09
< 「恋」評その1 >
皆さん旅してますか?
私は先週いただいたお休みを利用して、2泊3日で鬼怒川温泉にいってきました。これからはノートパソコン持参で旅しながら歌を詠む「旅人歌人」になろうと思います。どうぞよろしく。
そういえば「週刊SPA!」で、ちょっと珍しい仕事をしました。杉山竜さんのツッコミは涙が出るほど嬉しかった……。『かんたん短歌blog』には今までなかった類いの有り難い反響です。
えー、また台風が来てるみたいですが、枡野浩一と河井克夫がニセ双子ユニット「金紙&銀紙」として出演した松尾スズキ監督『恋の門』がいよいよ公開されます。みんなで『恋の門』を観て、恋の短歌を投稿しよう!
*
今週は「136」の投稿がありました(トラックバックの失敗は全然気にしないでね。削除とか私のほうではできないのですが、ミスを恐れず、どんどん練習してみてください)。
私の心がとまったのはたったの1首でした。
恋愛に興味が無いと見せかけてやることなすこと切り裂くようだ (柴田有理)
常連の柴田有理さん。
この作品は前半と後半のつながりが少し不思議なことになっていて、日本語としてややシュールなんだけど、すんなり読めてしまって、なんとなく腑に落ちる。
柴田有理さんは詩人ですね。詩的な短歌って本当は苦手なんですが、あなたはあなたの道をそのまま突き進んでください。
私が考える「面白い短歌」は、だいたい次の3種類に分類できます。
A.みんなが知っていることをみんなが知らない言い方で切り取り、その言い方が意外でありながら説得力があり、読者をハッとさせる歌。
B.みんなが知っていることをみんなが知っている言い方で切り取り、その当たり前すぎるところが逆に新鮮で、読者をハッとさせる歌。
C.作者個人の感覚をワガママな言い方で切り取り、作者ならではのコダワリがなんとなく伝わってきて、よくわからないなりに気になってしまう歌。
……最後のCが、いわゆる歌壇でほめられる歌であるように私には感じられてしまうのですが、そういう歌を味わうには読み手の側に「読む技術」が必要です。私は「読む技術がある人にだけ読まれればいい」という意識が苦手なので、もっぱらAやBの歌をつくっています。
柴田有理さんの歌はCっぽいけど、ちょっとサービス精神も感じるから(Aの要素もあるから)、不快な気持ちになりません。
*
今週の講評は以上。
「恋」みたいなベタなお題だと、甘い歌ばかり届いてしまって、難しいですね……。
次週に期待します。
*
ところで、「ドラえもん短歌」の審査が無事、終わりました。
最終結果はまだ発表できませんが、しめきり間際に届いた作品(改作)でよかったものが2首あったので、最後に紹介しておきますね。
負けないで。拳を握る母心いつしかドラえもんになってた (青野ことり)
改作の改作がうまくいったと思います。
母親の拳(こぶし)の形とドラえもんの手の形がリンクしていて美しい。
黒いドラえもんがこっちの方を見ている 塗り立てなのかどうかが気になる (辻一郎)
「黒いドラえもん」のイメージの鮮烈さを、「塗り立て」という言葉で際立たせてくれました。
あと、以前投稿されたものの中から「敗者復活」で、次の2首を拾いました。
ドラえもんシールを君が貼ったから楽器ケースはあの頃のまま (平賀谷友里)
これは〈ドラえもんシール〉というところが熟語なんですね。〈ドラえもんのシール〉と書いたほうが誤読が減るかも。
10階の窓を叩いて呼びに来るタケコプター友達が欲しい (小野伊都子)
これも〈タケコプター友達〉が熟語なんですね。
この場合はカギカッコでくくって
〈「タケコプター友達」が欲しい〉
と書くくらい親切でもいいかも。
以上の4首も含め、小学館宛に届いた膨大な作品にもすべて目を通し、優秀作を決定いたしました。
結果発表をお楽しみに!
2004 10 09 12:00 午前 | 固定リンク | トラックバック
2004.10.02
< 次回お題発表 >
予告どおり今週は(講評の)お休みをいただいていますが、今月のお題だけ発表しますね。
「恋」。
恋という字を必ず詠み込んでください。
もちろん枡野浩一と河井克夫が、ニセ双子ユニット「金紙&銀紙」として出演した、松尾スズキ監督の爆笑と感動の恋愛映画『恋の門』が10月9日から公開されるのを(私が勝手に)記念して……です。
できれば『恋の門』を観た上で、映画を遠まわしに踏まえた短歌にしてくれると嬉しいです。もしも面白い『恋の門』短歌が投稿されたら、きっと松尾スズキ監督もここをそっと読んで苦笑してくださることでしょう!(だけど映画や原作漫画の著作権侵害になるような作品はご遠慮くださいね!!)
今月は最優秀作を1首選んで、その作者に映画『恋の門』に関する本か何かをプレゼントしようかな、金紙&銀紙のサインつきで。
以前のお題「愛」との差別化をはかるのが大変だと思うけれど、大変であるからこそ面白いのです。
ご健闘を!
*
皆様からのご質問に駈け足でお答えしておきますね。
歌人の俵万智さんに関して枡野浩一がどう思っているかは、もうすぐ河出書房新社から発売される「文藝」冬号の俵万智特集をご覧ください(※情報にミスがあり、10/6に訂正しました。すみません!)。枡野浩一が俵万智へ31の質問を投げかけています。
私が今注目しているバンドは、河井克夫ひきいるアーバンギャルズ。金紙&銀紙がプロモーションビデオに出演したことで話題沸騰のサンボマスターも大好きです。
音楽の場合、メジャー/インディーズの区別はどうでもいいです。本の場合は、商業出版と自費出版の差は大きいと思ってますけど……。
短歌がどういう時に浮かぶのかは、次の「週刊朝日」に書きました。
短歌に目覚めたきっかけなどは拙著『かんたん短歌の作り方』(筑摩書房)に書きました。
煙草は36の誕生日から吸い始めました。見た目で選んだミニ・スター。なかなか売ってません。
近所に点在する複数のカフェで、1日3杯はコーヒーを飲んでますが、本当は紅茶のほうが好きです。砂糖と牛乳をいれます。紅茶なのに牛乳でなくクリームを出す店は駄目だと思う。
まだそれほど騒がれていないけれど注目しているものは、「歌人が書いた小説」です。これからは複数の歌人が小説の書き手としても注目されるようになるでしょう(予言)。
短歌が章の小見出しになっている小説……じつはすでに私が書いています。「小説現代」に昨年1年間連載した『結婚失格』。単行本化の時期は未定です。
『かんたん短歌blog』は単行本化をめざして水面下で相談中です。来年あたま刊行になりそうですが、お楽しみに。
というわけで、また来週……。
「ドラえもん短歌」は、しめきり間近ですよ! 改作を投稿するなら今!!










