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2005.07.29

< 「猫」評まとめ/次は「愛」 >

「短歌投稿のお約束」「トラックバックのお約束」をご確認の上、納得したら投稿してください。初投稿の方は筆名の読み方を書き添えてください。
イラストや写真の投稿も、短歌投稿の「お約束」に準じます。将来、枡野浩一の本に参加してもらえるようなクリエーターとの出会いを心待ちにしております。
「愛」の短歌およびイラストや写真、そのほか雑談の投稿トラックバックURL: http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/5216699

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 暑中お見舞い申し上げ枡。
 きのう「しゃべり場」特番の再放送があったんですね。はじめましての皆様、はじめまして。
 いろいろ言ってる時間がないので、あとでまた別記事を更新するかも。
 『ドラえもん短歌』(小学館)についてのご報告もありますし。
 今週は「受信 2005年7月30日 午後 02時28分」までの投稿を拝読しました。

誕生日しつこく聞き直している 猫の刺繍がしわくちゃになる (PDP)

 僕の誕生日は9月23日。僕の誕生日は9月23日。

猫じゃないことを確認されながらまた轢かれていく車道の軍手 (仁尾智)

 確認しない人も多そうです。 

商談中 ニャーと叫んで契約書ひきちぎりたい でもちぎらない (宇野等)☆

 とっても基本形という感じの形をした短歌だけれど、中身にひどく共感したので☆。
 でも「猫」というお題は入ってないから、これは自由題あつかいね。
 皆さん、猫のことを歌うというルールではないんです。「猫」「ネコ」「ねこ」などを詠み込んだ短歌をつくるんですよ。

海風に泣きそうな猫情けないその顔のまま明日も生きていろ(黒田)

 泣きそうなのは君のほうだろ。

黒猫になりたい不吉と言われても 白は汚れが目立ちそうだし (日比野あゆ子)

 黒も汚れが目立つと思う。

わたしって根に持たないの これはただ猫にペンキを塗ってるだけよ (宮川邦恵)

 しかもピンクに。

猫だいすきあの座り方うしろから 介錯したい 介錯したい (宮川邦恵)

 なかなかユニークな欲望をリフレインで表現してくれました。

もう3年たった今でも飼ってない猫の毛がふと服についてる (槇野 てる)

 あるある。あらすじ短歌っぽいけど。

ねこみたく たった三日で忘れたい 恩っていうのは愛されたこと (高橋茂)

 なんか気分はわかる。まだ消化途中?

きみのネコなでくりまわす お互いにしらけた顔がまたよいのです(緒川景子)

 よいのですか。

きょうもまたおいしく出来た夕ごはん猫に見せびらかしていただく (緒川景子)

 なんのために……。

赤んぼと猫を預けて久しぶり電車に乗った 男のにおい (酒井あんな)

 赤んぼも猫も女のにおいなのか。 

歩くたび猫ふんじゃってる気がする あとで泣くのはわたしなのかな (栗原あずさ)

 なくのは猫かもね。

ココアしかあたたかくない昼下がり 猫を抱いてる気持ちでいたよ (笹本奈緒)

 ココアがあたたかければいいんじゃないですか。

 ということで今回の☆はおまけして☆って感じ。
 来月8月のお題は「愛」です。「愛」という漢字を詠み込んでください。詳細は追って改めて書きますが、特別企画として歌人の辰巳泰子さんにも選をお願いします。お楽しみに!

2005 07 29 04:00 午後 | 固定リンク | トラックバック

2005.07.23

< 「猫」評2・3 >

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イラスト=nohohon_goto
neko_img

 真っ昼間の代官山を並んで歩きながら、挫折を知らない新鋭服飾デザイナーは、
「犬飼ってる人のほうが、なんか幸せそうなイメージですよね、猫飼ってる人より」
 と言った。
「そうかもね」
 私は即座に同意した。それから、
「でも猫のほうが幸せそうだよ、猫自体と犬自体をくらべたら」
 看板がわりに店頭に飾ってある大きな錦鯉のレプリカを見つめながら、生まれてから一度も考えたことのないことをすらすらと口に出す自分に驚いていた。(つづく)

 ……嘘です、つづかない!
 そんなわけで「猫」評、先週ぶんと今週ぶん、まとめて行きます。

「ネコ缶」と「シャケ缶」それは「雪女」と「雪男」より似て非なるもの (枡野浩一)

 今回は「受信 2005年7月21日 午前 09時00分」まで拝読しました。
 ちょっと甘めに多く選んであります。

猫舌で猫背で それと腹筋が肉球みたいです どうですか? (あみー)

 どうですかって言われても……。とりあえず触らせて。

おとといの残りの雨が降っている つまらないので飴をころがす (藤本洋子)

 飴を腹筋の上でころがさないで!

写真での子ネコは紙の手触りと知っているのにすりすり撫でる (沼尻つた子)

 言ってる内容は可愛いが、後半の着地がぎこちないです。

猫以外惜しいものなど無い部屋でパリス・ヒルトンみたく笑って (沼尻つた子)

 前半の気持ち、よくわかるなあ。
 後半は固有名詞のチョイスがこれでいいのかな。きまりすぎで理屈に着地してるというか。前半がつまらなく見えるというか。

猫はまたいなくなるからいつまでもよそよそしさを忘れないこと (伊勢谷小枝子)

 そうそう、それがポイント。

死を悟り猫は出て行くらしいけど 彼もそうならあきらめがつく(栗原あずさ)

 彼も出て行ったあと死ぬならゆるしてあげる。

アクビするニートのようなデブ猫もきっとおれより愛されている。(岩波ラスミチ)

 どんなやつも、おれよりは愛されてる。穂村弘も、笹公人も。

どうせならきみにほえたりする犬やつんとすました猫になりたい (緒川景子)

 犬や猫のほうが君に愛されてる。

キモいからさわらなかったやつなのにミケはさっさとちょっかいを出す (丹生谷歩美)

 それがきっかけで結婚するとは、あの頃は思ってもみませんでした。

捨てられてまたドトールで会ったけど 猫ならなでてもらえたのかな (笹本奈緒)

 猫なら愛されてるから。

この猫と暮らしはじめた理由はね 5回聞いたら教えてあげる (栗原あずさ)

 そこまでは知りたくないです。

誰がために鐘は鳴るなり法隆寺 木陰で猫が柿を食べてる (カー・イーブン)

 前半はいいけど後半、「猫」である必然性はゼロ。お題に無理矢理合わせたでしょう?

やな奴の顔には爪をたててやれ 猫は正しい 人で悲しい(英田柚有子)

 正しい猫のほうが愛されてる。

世界一ひとりぼっちの気がしてる サザエさんちのタマになりたい (栗原あずさ)

 タマのほうが愛されてる。

産まれたての猫は柔らかすぎるから水をすくったようにさわって  (長谷川パン)

 時制は「水をすくうように」ではないかな。

黒猫よ「抜けれるぜ?」って顔をして塀の隙間をすり抜けていけ (篠田算)

 それはどんな顔。

樹の上で寝ている猫を見上げてるあなたがビルの窓から見える (篠田算)

 なぜなら私、双眼鏡で覗き見をしていたから。 

いま少し猫とわけあうビルの影 ガリガリ君が棒になるまで (宮川邦恵)

 ガリガリ君は猫とわけあわない。

あかんぼが泣いているのに構わずに猫と遊んでいたことがある (酒井あんな)

 ブログ消しちゃったの? あかんぼ泣くと、そういうことって、あるよね。

「欠点も過去もまとめて受けとめる」猫をノミごと拾うみたいに (沼尻つた子)

 沼尻つた子さんはわりと模範回答っぽいかなあ。
 でもそこが逆に『かんたん短歌blog』の中では印象に残る感じ。 

腹立った なめらかな猫 なめらかな小林賢太郎(ラーメンズ) (柴田有理)

 なめらかな小林賢太郎って……。

出勤の足どり重いおれの靴 子猫が詰まっていたりしないか (宇野等)

 早く確かめて!

よいしょとか猫も言わない口癖をやめてほしいと言いそびれてる (秋野道子)

 猫はどんな言葉も言わないと思います。

この猫は「おいしいねぇ」って言いながら食べる感じが見どころだから (穴井苑子)

 だから猫はどんな言葉も言わないと思います。

半分はオスのはずだが猫たちが全員女に見える何でだ (宇野等)

 意見は普通ですが言葉の並べ方がわりとよい。

レンジでチンのご飯でおどるかつをぶし 猫が見ている おれも見ている (宇野等)

 基本ぽい短歌ですが、それが逆に目立ちます。

曲調が明るすぎます 喜んで踏まれるような猫はいません (篠田算)

 言葉をきっぱりと完結させすぎ。
 たとえば語尾、「猫はいるのか」にするとか、いろいろ工夫してみて。
 篠田算さんの歌は時々、無印良品のようにそのまんますぎて、そっけない。デザイン画をかいて終わりではなく、布を選んで切って縫ってアイロンかけて着てみるところまで、ひとりで仕上げなきゃ。

もう2年どろぼう猫をやってます 朝にはちゃんと返しています (栗原あずさ)

 クリーニングも済ませてあります。

暗闇の猫の目に似た冷たさで振り返るきみ 皿はからっぽ (小野伊都子)

 1文字あきは私がいれました。
 ぎこちない歌だけど、動作があるところがいいと思いました。

 以上、2週ぶんまとめて、☆はゼロでした。
 次回に期待します。

2005 07 23 02:56 午前 | 固定リンク | トラックバック

2005.07.20

< 単行本『ドラえもん短歌』掲載の作者発表! >

9月3日発売の単行本『ドラえもん短歌』(小学館)に、
以下の作者のつくった歌を収録する予定です。
作者名にふりがなが必要なのですが、
これで正しいかどうかをトラックバックでおしえてください。
(短歌投稿は、この記事にはしないでください)

また、完成した本を進呈しますので、
ご住所など連絡先をメール(ii@masuno.de )でおしえてください。
(いただいた情報は小学館編集部に伝えます。
本の謹呈以外の用途にはつかいません。
私にかつて連絡先をおしえてくださった方も、
お手数ですが再度お願いします。
データベース化しているわけではないので……)

どうぞよろしくお願いします。


(青野ことり) あおの・ことり 
(東貴博)あずま・たかひろ  ※特別参加。
(穴井苑子)あない・そのこ
(新井蜜)あらい・みつ
(安藤三弥)あんどう・みや 
(稲荷辺長太)いなりべ・ちょうた
(宇都宮敦)うつのみや・あつし
(遠藤しな)えんどう・しな
(岡部十理子)おかべ・とりこ
(緒川景子)おがわ・けいこ 
(樫子麻理)かしこ・まり
(加藤慎二朗)かとう・しんじろう
(加藤千恵)かとう・ちえ ※特別参加。
(貴志えり)きし・えり
(久我正敏)くが・まさとし
(久保端佳)くぼ・みずか
(栗原あずさ)くりはら・あずさ
(ごみたゆうこ)ごみた・ゆうこ
(紺野匠次)こんの・きんじ
(佐々木あらら)ささき・あらら
(笹本奈緒)ささもと・なお
(志井一)しい・はじめ
(篠田算)しのだ・さん
(月原真幸)つきはら・まゆき
(辻一郎)つじ・いちろう
(天国ななお)てんごく・ななお
(トヨタエリ)とよた・えり
(内藤青)ないとう・あお
(長瀬大)ながせ・まさる
(南雲英水) なぐも・ひでみ
(鳴井有葉)なるい・あるは
(仁尾智)にお・さとる ※「伊勢悟史」改め。※訂正しました。
(丹生谷歩美)にゅうのや・あゆみ
(沼尻つた子)ぬまじり・つたこ
(PDP) ぴーでぃーぴー
(平賀谷友里)ひらかや・ゆり ※訂正しました。
(古内よう子)ふるうち・ようこ
(古川亜希)ふるかわ・あき
(星川郁乃)ほしかわ・いくの
(本所飛鳥)ほんじょ・あすか
(松陽)まつよう ※訂正しました。 
(MAmi)まみ
(みうらしんじ)みうら・しんじ
(水橋かさね)みずはし・かさね
(三玉小春)みたま・こはる 
(麦ちよこ)むぎ・ちよこ
(百田きりん)ももた・きりん
(柳澤真実)やなぎさわ・まなみ
(山口緑)やまぐち・みどり
(ゆり) ゆり

以上です。

2005 07 20 01:15 午前 | 固定リンク | トラックバック

2005.07.17

< 「好き嫌い」と「レベル」の話 >

えーと、
「猫」短歌の選をしてみたんですが、
紹介しないと死んでしまうほど好きな歌は今回なくって、
諸般の事情で「評」は1回お休みします。
次回にまとめて……ということで。

で、
最近ある人に宛てて書いた手紙を、
以下に載せておきます。
特定の人に宛てた文章だから、
広く公開してしまうとニュアンスが変わるし、
語弊たっぷりの危ういことを書いているとも思うのですが、
あえて発表します。




Xさんへ、枡野浩一より。


世の中には
「好き嫌い」
とは別に
「レベル」
というものがあって、
もちろんどこまでが好き嫌いなのか、
というのは証明しにくいことだから、
「すべては趣味の問題(=好き嫌い)だ」
みたいなことを保坂和志の小説の中の
ゲイの友達は言うわけだけれど、
やっぱりひとつのジャンルにたくさんの人が集まると、
歴然と「レベルの差」というものが生じるのです。
「好きじゃないけど認めざるをえない」
というような言い方をする必要が出てきて、
「認めるなら好きってことじゃないか」
とか言う人も出てくるけれど、
私はやっぱり「好き嫌いではないレベルはある」と
考える立場です。

たくさんの作品を見ると、
「こういうのはありがち」
というのはすぐわかるようになるし、
ありがちなものに魅力は感じにくい。
なぜなら人は、
よくあるものではなく、
珍しいものに心ひかれるからです。
安易なものより、
困難をクリアした人に拍手を送りたい、
それが人間だからです。

もちろん同案多数ということは、
人々の共感は呼びやすいということ。
でも、
「内容はありがちなのに言い方が新鮮」
「当たり前すぎて意表をつかれた」
みたいに、
どこかに珍しい部分がないと、
それは作品ではありません。

こないだの私の発言の真意は、
「枡野浩一のところには、
いろんな歌集が送られてきていて、
それをいちいち読んでしまうと、
Aさんの短歌の一部は、
典型的な若手歌人の作風に見えてしまう」
といった程度の意味です。

短歌は好き嫌いが分かれやすい。
新聞歌壇で複数の選者が同時に選ぶ歌は少ないでしょ。
だから読者不在で、
ここまで生き延びてきたのです。
「これは駄目な歌です」
とハッキリ言うのには勇気がいる。
「Bさんは嫌いだと言ったがCさんがほめてくれた」
ということでプライドが守られる。
ほめてくれる仲間たちはたくさんいます。
そういう場が嫌だから私は、
マスメディアを発表の場にしてきました。

マスメディアで、
短歌に興味のない人々に読まれる短歌を……
という視点で常に歌を選んできました。
私のような立場で歌を選ぶ歌人は今ほかにはいません。

だけど、
私の価値基準は狭い。
そこから外れるけれど、
「あなたに必要な歌」
「特定の人に愛される歌」
だってある。
それをつくる権利も、
発表する権利もある。

あなたが、
そういう新しい「場」をいちからつくる気なら、
とめる気はありません。
そこに未来があるかもしれないと、
本気で期待しているので。

2005 07 17 04:49 午後 | 固定リンク

2005.07.15

< 「しゃべり場」 >

「しゃべり場」を見てここに来た皆さん、はじめまして。
ここは短歌の投稿場です。
今月は「猫」という言葉を詠み込んだ短歌を募集しています。
どうぞよろしくお願いします。

2005 07 15 09:21 午後 | 固定リンク

2005.07.09

< 「猫」評1 >

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イラスト=森文月
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 お待たせしました。今月最初の講評です。「受信 2005年7月 8日 午前 07時38分」までの作品を拝読しました。
 先月のお題「雨」の歌の残りは、選びたい作品がありませんでした。今月のお題「猫」の歌も、心にとまったものが少なかったです。

「このネコをさがして」という貼り紙がノッポの俺の腰の高さに (枡野浩一)

 ところでトラックバックのやりかたをまちがえているか、ココログ以外のブログをつかっているためシステムがちがうかで、投稿の1行目が短歌になっていない投稿が目立つようになってきました。そういうブログは一切、拝読していません。投稿ルールを守って、再度、投稿してください。
 投稿後にトラックバック一覧を読み返せば、自分の短歌がどのような形で枡野浩一やほかの読者の目にふれているか、わかるはずです。投稿のやりかたのミスに気づかないということは、読者の目を意識するという発想がないということ。あるいは、ほかの人の投稿を読むという習慣がないということです。ただ単に初心者でシステムに慣れていないということだとは思いますが、ご注意ください。

ものすごく悲しいことがあった日も猫の寝顔は笑顔なのかな (穴井苑子)

 笑顔のまま泣いてるんだニャ……。

水たまり踏めない猫の子のようにまわる日傘を遠く見ている (木村比呂)☆

 せつない片思い……気にいったので☆つけましたニャ。

恋人がいないからって肉球をそんなにいじくらないでください (長谷川パン)

 ちょっとならいいですけどニャア。

そこだけに闇をもちこむ漆黒の猫のからだに眼でふれるだけ (秋野道子)

 「眼でふれるだけ」というのが面白い。
 前半の言いまわし、わるくはないけど相変わらず不器用だなあ、秋野道子さん……。

結末をはらんだ猫に会いました いつか必ずいつか必ず (遠藤なお)

 変なリフレインがいい意味で気になる。

これからは猫の集会見かけても報告したらいけないんだね (高橋えっくす)

 報告してもいいと思うニャ。ストーカー呼ばわりはされるけどニャ。

また二人猫が見ているただなかに……、そうねそうだね情事と呼ぼう (笹井宏之)

 「……、」といった記号の使用には賛成できない。
 相変わらず笹井宏之さんの短歌はなんか私のつぼから外れてる。
 でも目にはとまる。

「この家はどうだ?」と猫に聞いてみる 何も言わないのをいいことに (仁尾智)

 後半、名フレーズ。
 「元妻はひどいよねえ」と猫に言う 何も言わないのをいいことに (枡野浩一)

猫のえさしかないけれど空腹だ 猫のえさならある 空腹だ (仁尾智)

 停電でスモールライトならあるんでしょ。空腹でアンキパンならあるんでしょ。

僕の手が垣根をくぐるネコみたく君へと伸びて差し出すリンゴ (宇都宮敦)

 実感のある比喩だけで読ませる歌。『かんたん短歌blog』では異色だったので選びました。

 以上です。
 また次回。

2005 07 09 10:05 午後 | 固定リンク | トラックバック

2005.07.06

< レビューコンテスト結果/営業部員へお礼 >

右端の「枡野の短歌部屋」のところで募集した
『かなしーおもちゃ』レビューコンテスト、
遅くなりましたが結果発表をします。

正直、レビューは、「ふつう」でした。
皆、ほめてくれていて嬉しいんだけど、
この角度からだったら、
枡野浩一が自画自賛で同じレビューを書ける、
という感じ。

よって、
アマゾンとbk1の両方に投稿してくれた人の中から、
安藤三弥さん英田柚有子さん穴井苑子さんに、
それぞれ図書カード3000円分を進呈しますので、
ご住所を枡野浩一までメールでおしえてください。
ii@masuno.de
です。

あと、
チラシなどをつかって、
全国で『かなしーおもちゃ』の営業活動をしてくれた皆さんも、
メールで自己申告してください。
なんかちょっとしたお礼をします。
お礼の希望があったらメールに書き添えてください。

皆様に感謝します。心から。

2005 07 06 08:36 午前 | 固定リンク

2005.07.04

< 嬉しいニュース >

おかげさまで拙著『ドレミふぁんくしょんドロップ』が
絶版を免れ、めでたく復刊されました。
しばらくは「復刊ドットコム」のみでの販売になります。
http://www.fukkan.com
『てのりくじら』と2冊セットで買ってくださった方に、
枡野浩一直筆のサイン入りポストカードをプレゼント。
ただしキャンペーン期間のみ。数に限りがあります。
どうぞよろしくお願いします。

2005 07 04 07:51 午前 | 固定リンク

2005.07.02

< 「雨」評4と次回お題発表 >

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写真=ゆり
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 雨の少ない梅雨ですね……。月が変わってしまいましたが、「雨」評、一応のしめくくりです。
 「受信 2005年6月29日 午後 06時58分」までの投稿を拝見しました。それ以降に届いた作品は、次回に講評しますね。
 ドラえもん短歌本の制作が大詰めに入っています。いい本になりそうです、お楽しみに……。
 で、7月のお題は「猫」にします。単純! 「ネコ」「ねこ」も可。どうぞよろしくお願いします。

屋上にのぼったことは一度だけ きみがまだいた雨の日のこと (新井蜜)

 最初見たとき、「きみが跨いだ」と誤読していました。「きみが未だ居た」かあ……。
 んー。乱暴な抒情のような気もするが、参考のために挙げておきます。

バイバイね相合い傘もしないまま ツバメが低く飛んでいるのに (PDP)☆

 情景の切り取り方がいいですね。

雨が鳴る響きあってる偏頭痛 くの字になって受け入れてみる (PDP)

 これは「くの字になって受け入れてみる」がいい。耐えているときの姿勢が目に浮かぶ。

神様を褒めそやす歌が「晴レルヤ」で すがりつくには「雨ン」だなんて (沼尻つた子)

 駄洒落なんだけど、思いついたのは作者に「ハレルヤ」と「アーメン」について考えるような日々が積み重なったからだろうな、と思いました。 

雨降りじゃないのに髪が決まらない 決まらないのは髪じゃないのか (カー・イーブン)

 なるほど。髪がきまらないとき、ほかの何かも、きまらないものです。

雨樋は傾いてるから流れてく 僕も少ぉし傾いてみる (カー・イーブン)

 流れていきたいから傾いてみたんですね。
 1文字あきは私がいれました。

降りそうで降らない雨のようだとか言われて笑いながら土砂降り (カー・イーブン)

 前半、意味不明のようでイメージが伝わる。
 後半は流れすぎかなあ。

雨の日は辞書を片手に屋根裏へ しぱりしぱりと頁めくって(小野伊都子)

 しぱりしぱり、という擬音に1票。 

やわらかな雨の降るなか僕たちはひとつのことをしくじるばかり (宇都宮敦)

 しくじるのは美しいよね。

暖かな部屋の外には雨が降る 一人だなあと思ってしまう (蒼井文)

 表現は剥き出しの無印良品みたいだけど、実感がこもっている。

雨の日の濡れたウールの制服の匂い以外は思い出さない (穴井苑子)

 思いだしてるくせに。

それはもう「またね」も聞こえないくらい雨降ってます ドア閉まります (笹井宏之)

 笹井宏之さんはいろいろ試みてくれてるけど、なんか私の心を素通りする作風。
 これは心がそっぽを向いてる感じがして、ひっかかりました。

雨の絵を迷わず青でかいていた ピュアで無知かつ卑怯であった (宮川邦恵)

 後半は言葉で説明しすぎで世界が閉じている。
 前半を何かの比喩としてつかって、もうひとつ別のこと言ったら?
 雨の絵を迷わず青でかくように……って。

「奥さん……」とエロめの彼がマジに言うレジがあったら傘屋が儲かる (宮川邦恵)

 ラーメンズのコントみたいな後半。
 でも傘にしたのは無理矢理で、別に「雨」と関係ない。

大股でふみしめていく水たまり いま死んだって成仏しない (宮川邦恵)

 晴れてから死にたいね。

心頭滅却してたって 火は熱く、雨は冷たい  離れたくない(槇野 てる)

 読点や1文字あき、2文字あきは、もっと整理できるはず。

雨の夜 姉とふたりであたたかいココアを買って あと50円 (夏木夏子)

 ママはどうしたのかな……。
 「あと50円」が心細さをよく出している。 

永久に止まない雨か雨が止む前に世界が終わればいいな (平賀谷友里)

 日本語としてはやや強引。
 ねじれのない散文だったら、
 「永久に止まない雨か雨が止む前に世界が終わるの希望」
 って感じかもしれないけど、これはねじれがいいのかも。

雨のなか飛んでる鳥にはよっぽどの事情があると思い込みたい (沼尻つた子)

 「思い込みたい」は、言いすぎって感じ。「信じていたい」くらいでいいのでは?
 ……んー、この過剰さがいいような気もしてきた。

雨が口に入るくらいののしって 他の誰より愛するつもり(栗原あずさ)

 これも雨が口に入ったことのある人の作品という感じがする。
 そういう「実感」が大事です。

 今回は☆ひとつだなあ。
 次回に期待。

2005 07 02 04:00 午前 | 固定リンク | トラックバック