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2005.08.28

< 「愛」の講評 >

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イラスト=nohohon_goto
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 トーク「もういちど愛について」に来てくださった皆様、来られなかったけれど来たかった皆様、ありがとうございました。
 皆さんの感想や、「かんたん短歌blog」の今後に関するご意見、有り難く拝読しております。9月から投稿のルールを大きく変えてみることにしました。詳細は9月のお題の発表などと併せて、9月1日に発表します。それまで短歌の投稿はご遠慮いただけると幸いです。
 今回は1ヵ月ぶんの短歌にコメントします。作品をけっこうたくさん選びましたが、こういうふうになるのは今月でおしまいになるはず。
 『ドラえもん短歌』(小学館)の完成品が先日、私の手元に届きました。皆さんのおかげで、いい本が出来たと思います。すばらしい書き手や読み手に恵まれているということを忘れずに、「かんたん短歌blog」、どうにか続けていけないか考えてみます。もちろん私の一存で続ける/続けないを決められなくなる時も、いつかは訪れると思います。その時までは、せめて……。
 

 付け句は今回、まあまあのやつも投稿されていたけれど割愛しました。
 また今度、付け句遊びもしましょう。

「サヨナラも愛の言葉」とミスチルが歌っていたよ じゃあさようなら (笹井宏之)

 ミスチルの歌の詞に頼りすぎているところが致命的な欠点ですが、仕上がりはまあまあ鮮やかなので参考のために残しました。

愛しても愛し足らない人といて足りたら終わりかとも思った (笹井宏之)

 理屈で仕上げているようなところが気になりますが、参考のために残しました。

最初から入っている愛の切れ目を歌手は拡大して歌うのだ (笹井宏之)

 上に同じ。

愛の意味なんて「モー娘。今何人?」より簡単よ早く答えて (古倉けい)

 それは相当むずかしいよ……。 

きみとなら愛よりも恋 悪いけど死ぬまで服を着ててください (緒川景子)

 前半は退屈。後半が印象的です。

新品の愛をはじめて手に入れた 保護用フィルムはまだ剥がさない (カー・イーブン)

 日常的なシーンを切り取って、実感が伝わる。それだけだけど。

すじすじのうちわの狭い部分からのぞいた愛という愛ぜんぶ (笹井宏之)

 んー。言葉のかっこよさだけで書けてしまうのが笹井宏之さんの弱みかなあ。

愛なんてどこにも存在しないけど想像以上においしいごはん (緒川景子)

 後半がいいけど前半は説明のしすぎでは。

愛してるものから離れてほっとする もう私に傷つかなくていい (平賀谷友里)

 七五調のリズムは保ってください。歯を食いしばって。

猫耳の犬山犬子が見てみたい うそです別に見たくないです (あみー)

 何も言ってない馬鹿さに免じて残しました。後半のフレーズは付け句につかえる。

去勢したうえ軟禁している猫に癒されたりして申し訳ない (仁尾智)

 なるほど。

愛なんて込められちゃうと困ります 210円かけそば来ない (PDP)

 なるほど。

カレンダーどおりに用を足せた日は四角い愛も信じてみたい (秋野道子)

 辰巳泰子さんもおっしゃっていましたが、「用を足す」と書くとトイレへ行ったみたい。
 「四角い愛」はなかなか気になるが、思いつきで終わらないよう仕上げて。

たとえばね「愛してるって言って」って言って言わせて それじゃだめなの (平賀谷友里)

 何も言わないで自ずと愛されたいの。

「元気?」って君のメールに「死にたい」と返事が書けるくらいは元気 (佐々木あらら)

 ああ、じゃあ大丈夫。

つまんない号は買わない月もある雑誌のように付き合えたなら (佐々木あらら)

 そして半年が過ぎました。

ひたひたに注がれぎりぎりこぼれない愛の表面張力 吸って (沼尻つた子)☆

 「ひたひた」「ぎりぎり」などがスレスレの陳腐さですが、全体的に伝えていることは、緊張感をぎりぎり保っている。

知ってるよ愛じゃ地球を救えない だからお金を集めるんだろ (カー・イーブン)

 ぼうや、「愛」っていうのはね、「お金」の大人な言い方なんだよ……。

愛情のキャッチボールをしませんか? 今日はグローブ2個持ってます (笹井宏之)

 ボールはあなたが持ってきてください。

愛してる幸せだって言いながら早く過労死してしまいたい (平賀谷友里)

 でも人生は長い。

心臓でうまれた愛が全身にすぐにまわっていくのがわかる (山口緑)

 「すぐにまわっていくのがわかる」は、手垢のついた言いまわしを逆手にとっていて「あり」だと思うけど、歌全体で伝えていることは頭だけで考えたっぽい。全身つかってない。

あちこちに落ちているけど いつだって 拾った愛には持ち主がいる (天国ななお)

 返さないと。

愛車はね 足で閉めても気にしないぐらいになってここちいいかも (宍戸れみ)

 「〜はね」は文字数合わせに見えてしまってマイナス。改作してみて。

愛を打つ連打しますが方向が間違ってます胸を打ちます (柴田有理)

 あなたの間違ってる歌はなんか気になるねえ。

すこやかに愛を呼吸するひとの目をまっすぐに見られるように (宮田ふゆこ)

 気持ちはわかる。でも前半が抽象的で実感が伝わりにくい。

長ければ勝ちじゃないけど長続き望むもんじゃん愛も命も (茱萸木ヒヅキ)

 そう?

「ガムの味しなくなったら飲み込む」と愛の話が終わった頃に (笹井宏之)

 吐き出すのと、どっちがいいかな。

他ぜんぶ売り切れていて残ってたこの愛こそが欲しかったふり (沼尻つた子)

 なるほど。

冷蔵庫みたいに存在感があり寛容すぎる愛をください (カー・イーブン)

 ほどよく寛容なやつならあるけど、すぎるやつは売り切れです。

ふと見ると妻の笑顔が目に入り彼女を名前で呼びたくなった (ケタガワ)

 「ふと見ると」は安易かなあ。後半の気持ちはわかる。

おしぼりで額拭き拭き「愛してる」って言わないで 剥がれるじゃない (PDP)

 そうなの?

他にいい言葉も思いつかないし愛ってことにしておきました (平賀谷友里)

 もっといい言葉があるはず。

口にした言葉を愛のせいにして 誰か私を許してほしい(松陽)

 無理。

愛という言葉のせいで愛があるような気がするだけかもしれない (浜野三千世)

 この歌は「恋」「夢」などシリーズ化が可能。

ズキとくる痛みを愛と信じたわ あの頃はもう江戸時代かな?  (富田林薫)

 いいえ。せいぜい昭和です。
 このレトリックは有名な前例あり。「江戸時代から好きでした。イチハラヒロコ」

ラーメンが見えないほどに具を乗せるのが愛とでも思ってんだろ (宮田ふゆこ)

 ちがうの?

ほか弁でバイトしたから忘れない 白身ひとつを揚げたって愛  (丹生谷歩美)

 ……だそうですよ、PDPさん!

ダメ出しを期待しながらそれほどは愛されてないと気づいてはいる (辻一郎)

 「ダメ出し」って言葉みんな誤用してるけど、一応もとの意味を知っておいてね。

忘れるなHの前に自慰がありHの後に愛があること (草刈ゴールドバーグ)

 これは、きまりすぎていて前例がありそう。だれかがもう言ってるでしょう?

愛というバナナの皮ですべったが投げ捨てたのはぼくだったから (みうらしんじ)

 ころんだほうもわるい。

風邪という名前があるから説明がつく諸症状 愛もそうかも (沼尻つた子)

 さっき同案の歌があったね。

愛だけで子どもが育ってくれるなら私は愛だけ与えるだろう (浜野三千世)

 ごもっとも。でも愛「も」与えて!

あたえあうあたしとあいつのあの愛はあたまとあしのあいだにあった (山口緑)

 えっち!

高すぎるキーで始めた愛の歌 サビの部分はどうなるんでしょう (宍戸れみ)

 1オクターブ、突然下げます。

イントロで違う違うと聴き飛ばす 試聴のように愛を選んだ (宍戸れみ)

 一応選べただけまし。

薄くしたカルピスみたいな空の日に 愛してるって言われても、もう  (村上はじめ)

 前半はそんなに面白くないたとえです。

この人のいびきまでもが愛しくて思わず眉をはむはむしちゃう  (貴志えり)

 はむはむ……。

どうしても愛の歌には聴こえない そういう歌も必要でしょう(篠田算)

 正論です。

便宜上「愛」と呼ぶしかない身体 泣きたいくせに笑ってしまう(篠田算)

 便宜上正論です。

おしゃべりをしているうちに外国に来ていたような明るい愛だ (百田きりん)☆

 「明るい愛」の「明るい」が余計な言葉に見えないよう構築されていて、よいと思う。

あったかい愛がいいけど 冷めたっておいしい愛があればまあいい (あみー)

 あったかい愛より、むしろ難しいよ……。

とりあえず皆で頼む生ビール そういう愛と思ってないか (本田あや)

 「皆」は「みんな」にしたらリズムが整う。

愛のうた あたしのためにつくられたわけじゃないのにあたしのものだ (長谷川パン)

 盗られた!

透明な防弾チョッキを着ています つらぬくような愛をください (栗原あずさ)

 死にますが宜しいですね?

呼び出した目的だった愛はもう全部出したし帰っていいよ  (佐々木あらら)☆

 こっちはまだなのに……。

嘘をつくのが愛なのか事実を言うのが愛のなのか迷って言った (出石正比古)

 ……どっちを!?

欲はなく生きてるけれどときどきは愛する人に愛されたいな (緒川景子)

 それは強欲。

地図なんて見ないで人に聞けばいい 愛する人に愛されたいな (緒川景子)

 もう1案!

雨降って固まるものもあるけれど この愛はまだやらかくていい (村上はじめ)

 前半はまだ動く。 

「愛なんかない」とうそぶく人がいるかぎり世界はどこまでも愛  (笹井宏之)

 同感。
                             
愛の歌ぜんぶがぜんぶ真実じゃないかもだけど 元気が出るよ (霧島かえで)

 ひとつも真実じゃないかもだけど。元気出せよ。

終電で不二家の箱を持つおじさん 中身の愛はちょっと寄ってる (沼尻つた子)

 これは「愛」とまで呼ばなくても。

愛だっていろんな種類があるんだよ ツメの間につまるやつとか (福々屋大福)

 ツメの間につまったら別の名で呼ばれます。

愛してるものをどんどん愛したい 上や横へとひろがりながら (丹生谷歩美)

 「上へ横へと」という言い方も検討した?

愛なんてわからないけどおにぎりは誰かに作ってもらうと旨い (仁尾智)

 誰かというか、あなたじゃないと。

ほかのコを愛することができるのもきみが愛してくれるからこそ (丸山太一)

 あたしも!

地位だとか外見だとかそんなもの全部含めて愛してるんだ (志井一)

 正直ですね。

不自然に響けば響くほど「愛」とわざわざ口にした甲斐もある (志井一)☆

 ワルですね。

もう元に戻ることなどない愛は見えないところにしまっておこう(篠田算)

 そして時々見てみよう。

マスカラが溶けてKISSのメンバーのような顔でも愛しています(篠田算)

 そういうフェチなんでしょう。 

出産に立ち合うことで愛情をしめそうなんて涙が出るわ(篠田算)

 嬉しくて?

純愛の「純」がなんだか最後までわからないまま純愛だった (篠田算)

 わからない……。
 篠田算さんは最近、絶不調です。もう一度、あの頃の君に戻って!

もういいよ 愛を切り出せない君の代わりにayuが歌ってるから (本田あや)

 じゃ、よかった……。

愛という名前をもらいそこそこに幸せだった わたしの努力で (山口緑)

 まあ、よかった……。

あの頃は愛なんか知らなかったから 単語を1000個も暗記できたの (日比野あゆ子)

 七五調のリズムを大切にして。

盛大に飛び散ったのはいいかげん愛もさらさらしてきたからだ (柴田有理)

 べとべとでも飛び散るよ。

アクセルをぎゅんぎゅん踏んで愛してる 君のスピード追いかけていく (安藤三弥)

 ブレーキ! ブレーキ!

影遊び 愛の話をした後はもうしあわせたような夕暮れ (安藤三弥)

 そこには「しあわせ」が隠れてる。

彫っていくうちにだんだんデッサンと離れて愛はそこにただある (小野伊都子)

 やりなおせない。

愛してる愛してるって何度でも似てない物真似みたいに名乗る (伊勢谷小枝子)

 この歌の肝は「名乗る」ね。

一度ではわからないけどこの愛はたった一度でいいはずだった (伊勢谷小枝子)

 わからなくていいはずだった。

ひとつでも何か覚えていてほしくてあれほど桃を愛してみせた (大河内理子)

 んー。桃が何かの暗喩に見えちゃうとこが退屈。

愛すべきことではないが食事中ピザのチラシを読むのが好きだ (笹本奈緒)

 好きかあ。

もう愛はないが滑舌だけは良く「函館にまた来よう」って言う (笹本奈緒)

 愛がないから滑舌がいいんだと思う。

誰からも愛されなくて 愛なんてもういらないと言ってしまった (猪狩義久)☆

 言わないで黙っていればよかったね……。
 書けそうで書けないと思う、これ。

お祭りの途中の雨はじぶんたち以外の愛も深めたのかな (猪狩義久)

 そもそもあたしの愛は深めたのかな。

正解のある問いばかり並んでる 愛を知らない子らが解いてく (カー・イーブン)

 前半はなるほど。後半は余計。「愛」なしで改作したら?

愛してた過去形ならばいえたかも ひとりでみてる夕空は晴れ(本多響乃)

 前半を活かして改作して。

「みずむし」って響きは涼しい ていねいに足指あらう君を愛すよ (沼尻つた子)

 これも「愛」じゃなくてもいい歌。前半はなるほど。

幸せになってくれればそれでいい 愛っていうのはあなたのことだ (平賀谷友里)

 後半はまあ、決め台詞。枡野浩一に似た構造の歌があるけどね(単行本未収録)。

I Love You 君の返事は来なかった きっと英語が通じなかった (志井一)

 それでロシア語を勉強中。

突然の愛の告白 いやそもそも自然なタイミングなんてないよ (志井一)

 ごもっとも。

愛情が足りない歌をうたうからあとは勝手に補ってくれ (笹井宏之)

 無理。

真剣に愛をうたうと決めたのでうどんを三十回かんだのだ (笹井宏之)

 んー。言葉のかっこよさに溺れないで。

腐っても愛だといいね そのまえに腐らなければもっといいよね (笹井宏之)

 こんな歌詞のラブソングがあったら、それを歌う人を愛せない。

きみはすぐ愛してるって言うけれど接続詞だと思っているの? (貴志えり)

 えっ、もしかして助詞?!

角そろえパチンとホチキスするように愛しあえたらよかった二人 (沼尻つた子)

 糊がベトベト……。 

「愛なんていらない」の持つ本当の意味はたぶん「愛をください」 (森文月)

 字足らずをなくしてみて。 

金持ちで美人でみなに愛されるわたしのどこが気に障ったの? (彦彦)

 全部。

これからもきっといろいろあるけれどいつかなつかしいんなら愛だ (平賀谷友里)☆

 「これから」の愛を歌った人はあなただけだった、と辰巳泰子さんはおっしゃいました。
 前半が安易ではと思ってたけど、辰巳評に説得されました。
 今回の「愛」の最高評価作品。

 以上です。
 とりわけ☆を付けた歌が好きでした。厳しく選ぶとしたら☆なしの歌は捨てる、という意味です。
 最初は拾っていたのだけど、見つめていたら捨てたくなった歌もけっこうありました。気のきいたレトリックの歌は、よほど飛び抜けてないと、もう選びません。
 ではでは。
 9月1日に……。

2005 08 28 10:54 午後 | 固定リンク | トラックバック

2005.08.19

< 「かんたん短歌blog」の今後 >

日付が8月20日になった瞬間、
「愛」の短歌はしめきります。
もう今月、歌の募集は終了です。
夏休みだと思ってください。
私の選と評はあしたのトークで話します。
そして最後の週にまとめてコメントします。
どうぞよろしくお願いします。

「かんたん短歌blog」が
いつまでも淡々と続くと思っている皆さん、
実際はそんなことはなく、
今後はがらりとスタイルを変えるか、
もしくはきっぱりやめるべきか、
ずっと迷っている私に、
なんらかのメッセージを送るべく、
土曜日の辰巳泰子さんとのトーク、
無理してでも来てください。
もちろん日曜日のトークもよろしく!
トラックバックだけじゃ、もう届かない……。

2005 08 19 11:40 午後 | 固定リンク

2005.08.14

< 再び筆名についての考察 >

以前も筆名についての考察をしましたが、
再び考察してみたくなるような出来事がありました。

常連投稿者の■■さんが枡野浩一にメールで、
じつは▲▲という筆名も自分なんです、
という告白をしたのです。

(そのメールが届いたのは、けっこう前のことです。
今、そのことをわざわざ蒸し返して語っているのは、
単に私に時間的余裕が出来たから……。他意はありません。
それと、私は■■さんに対して怒っているわけではないので、
念のため)

そのメールを私なりに解釈します。
つまり■■さんは、
自分が常連投稿者の■■であるということを
選者の枡野浩一に意識されすぎているような気がしたので、
まっさらな状態で作品を評価してほしくて、
▲▲という新しい筆名で投稿してみた、
ということらしい。

たしかに最近、
■■さんを常連として強く意識していました。

たいへん申しわけないけれども
私は人の名前を覚えるのが苦手です。
常連さんであっても、
代表作と名前が一致していない人はたくさんいます。
佐々木あらら、篠田算などは、
作品・名前・顔が全部一致する例外中の例外であり、
■■さんはそんな中、
「この人はいいな」
と強く意識している
数少ない常連投稿者のひとりでした。

ひいきしている、
と言われたら、
もちろんです、
と答えるでしょう。
そもそも『かんたん短歌blog』は、
「この歌がいいと思う」
「この人がいいと思う」
と、
ゆびさす場にしようと思って始めたのですから。
だれもが同列であるかのような
幻想にひたりやすいインターネットには、
そういう場が必要だと考えています。

話が逸れそうなので元に戻しますが、
結論を言うと、
▲▲と■■がじつは同一人物であることを、
■■さんは永遠に秘密にしておいてくれたらよかったのに……
と思いました。
以前も複数の筆名をつかいわけている投稿者がいましたが、
その人も同様です。
読者や選者を一生あざむくくらい巧みに作風をつかいわけ、
別々の名前で賞をとったり作品集を出したりする、
そこまで徹底してくれたら面白かったのにと、
残念でなりません。

でもね、
笹公人さん
新刊『念力図鑑』(幻冬舎)のあとがきに書いています。
〈新しいと思われている歌でも、本当に新しいものなど
ほとんどないと思う。千三百年もの歴史がある短歌は、
たいていのことは誰かがやっているものだ。〉

歌壇ではタブーになっているのかもしれない、
「久木田真紀」事件をあなたは知っていますか?
夏から秋にかけて、
枡野浩一は短歌関係のトークをいろいろやりますので、
その中でたぶんお話すると思います。
ネットでちょっと検索してみたけど、
あんなに衝撃的な事件なのに、
ほとんど話題になってないんだね……。

えーと、
私の考えを端的に言います。
短歌は、
まっさらな状態では評価されないものです。

もちろん1首、2首の単位でなら、
先入観のまぶされてない状態で読まれることもあるでしょう。
でも『かんたん短歌blog』のような、
トラックバック投稿を募っているブログで、
「作者のプロフィールぬきで作品を評価されたい」
と望むのは、
いささか無茶だと思います。

この場での選者は、
「作品」を通じて「作者」に出会いたい、
と願っています。
まあ、
けっこう保守的な短歌観です。

私だって、
『てのりくじら』『ドレミふぁんくしょんドロップ』
(共に実業之日本社)
を2冊同時刊行してデビューした時には、
枡野浩一という一個人のプロフィールぬきで読まれたい、
という欲望で作品集を編みました。
あの2冊は帯を外すと、
作者の情報が一切なくなるようにつくってあるんです。

だから皆さんの気持ちはわかります。
皆さんは私とはちがう試行錯誤を経て、
枡野浩一とはちがう皆さんの方法を
いつかは確立してほしいと思います。
だから、
私が『かんたん短歌blog』の投稿ルールを提示していたら、
そのルールをやぶるときには、
もっと確信犯でやぶってください。

ところで
過去ログを読み返してみたら、
私は▲▲さんと■■さんに、
まったく同じ意味のコメントをしているんですよ……。
だから、
▲▲さんの作風と■■さんの作風が、
同じであることに気づいていたんだと思う。

あー、
もしかしたら、
もっとほかにも、
筆名をつかいわけてる人がいるのかもしれない。
もしいたら、
どうか、
このまま読者や選者をだまし通してください。
あざむいている罪悪感に負けないで。
告白して、らくになろうなんて、考えないでください。
どうぞよろしくお願いします。

2005 08 14 04:30 午後 | 固定リンク

2005.08.07

< 『ドラえもん短歌』表記について >

9月3日発売の『ドラえもん短歌』(小学館)、
いよいよ最後の仕上げをしています。

この本は歌人の篠田算と本人関係にある谷田浩さんが、
ブックデザインを担当してくれました。

彼の本職は服飾デザイナー。本のデザインは初めてなので、
私の歌人デビュー作『てのりくじら』
『ドレミふぁんくしょんドロップ』(共に実業之日本社)の
デザインを手がけたベテラン、
義江邦夫さんにも協力していただいています。

今回、
短歌のレイアウトに大胆な方針を採用してみました。
詳しくはまだ説明できないのですが、
あるデザイン上の要請があり、

ドラえもん
きみの耐用
年数は
だいたい何年
くらいなのかな?
(篠田算)

というふうに、
五七五七七の切れ目ごとに改行しているのです。
これは普通「素人くさい」と嫌われるやり方なんですが、
まあ、
仕上がった本を一目見れば、
納得してもらえると思います。

で、さっきの歌はもともと、

「ドラえもん、きみの耐用年数はだいたい何年くらいなのかな?」 (篠田算)

という表記で投稿されたものでしたが、
単行本としてまとめる段階で、
カギカッコや読点が邪魔になったので、
作者本人の判断もあり取ってしまうことにしました。

今回、
ドラえもんに呼びかけるスタイルの歌が
けっこうたくさんあったのですけれども、
すみませんが、こちらの判断で、
〈ドラえもん、〉
というふうに呼びかけている歌の読点〈、〉は、
すべて割愛させていただきました。
読点がある歌とない歌が混じると、
そこに「意味」が出すぎてしまうので……。

記号などは本来、作者が自由にきめるべきものですが、
今回は『ドラえもん短歌』という本の性質上、
こういった措置をとりました。
商業的に流通する文章にはすべて「編集部の判断」というものが
つきまとう、ということをご理解ください。

巻末に、
投稿時あるいは入選作発表時の表記の歌も
小さな文字で掲載します。

(正式採用された93首以外の入選作も、
『かなしーおもちゃ』同様、
小さな文字で掲載してあります)

すべての作者にひとりひとり確認をとることが
できなかったため、
この場でのご報告になりました。
ご勘弁を。

なお、
完成した『ドラえもん短歌』(小学館)を
正式採用された93首の作者にお送りしたいのですが、
住所などをご一報いただけていない方が
まだけっこういます。
こちらをご覧の上、速やかにご一報ください。
お待ちしています。

2005 08 07 09:16 午前 | 固定リンク

2005.08.05

< 「もういちど愛について」 >

告知が遅くなりましたが、今月は特別企画です。
「愛」というお題で短歌を募集しています。

皆さんもご存じのように、
「愛」というお題を出すのは2度目です。

前回の愛も8月でしたね……。
『かなしーおもちゃ』(インフォバーン)には、
諸般の事情で愛の歌を収録しませんでした。
あの頃の愛に関しては、
PDPさんが振り返ってくれましたので、
ご参照ください。

歌人の辰巳泰子さんと8月20日(土)の夜、
青山ブックセンター本店で、
「もういちど愛について」
と題してトークをすることになりました。
http://www.aoyamabc.co.jp

ご存じの方もいると思いますが辰巳泰子さんと私は以前、
三鷹にある素敵なカフェで、
「愛について」
と題してトークをしたことがあるんです。

いろんな意味で
「もういちど」、
愛についての歌を募集し、
愛について考え、語ります。

さっそく辰巳泰子さんが
ご自身のブログで選とコメントを
始めてくださっていますね。

私のほうは、
今月の講評は最後の週にまとめて書くことにします。
いつもとちがうやり方を試みてみたいので。

なお、トークが20日なので、
今月は投稿を19日いっぱいでしめきります。
もちろん、
しめきったあとに「愛」の歌を投稿してくれても拝読しますが、
20日のトークでは、
「一番の愛の歌」を、
辰巳泰子さんと枡野浩一がそれぞれ選ぶ
ことになっています。
合議で1首になるかもしれないし、
それぞれ1首ずつになるかもしれない。
そのへんは当日の判断で。

青山ブックセンター本店にも投稿する場を設けてあるそうです。
むろん、以前投稿された愛の歌も候補に含めますので、
お心当たりのある方は、
ぜひトーク会場に足をお運びください。
トークの様子は念のため録音したりはしますが、
議事録を『かんたん短歌blog』で発表する予定はありません。
ライブならではの「評」をお楽しみに!!!

えー、
『ドラえもん短歌』(小学館)の仕上げの作業を今やっています。
それに関してちょっとご報告したいこともあるので、
あとでまた更新しますね。
(と書いたまま、また1週間経ったらどうしよう……)

2005 08 05 11:36 午前 | 固定リンク