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2005.10.26

< シモネタ評その4 >

「短歌投稿のお約束」「トラックバックのお約束」をご確認の上、納得したら投稿してください。初投稿の方は筆名の読み方を書き添えてください。

イラストや写真の投稿も、短歌投稿の「お約束」に準じます。将来、枡野浩一の本に参加してもらえるようなクリエーターとの出会いを心待ちにしております。

『ドラえもん短歌』(小学館)発売記念で、ドラえもん短歌も募集しています。そのほか、自由テーマの短歌も受け付けていますが、投稿は原則として1人あたり1週間に1〜3首程度にしてください。ひとつの作品を推敲して何度も投稿したり、以前の作品を改作して再投稿したりするのは、ご自由に……。短歌およびイラストや写真、そのほか雑談の投稿トラックバックURL: http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/6615738

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イラスト=中野玉子
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 旅に出ます。

 なので本日から10月いっぱいまでは、短歌投稿をお休みとさせてください。ただし、ドラえもん短歌や改作の投稿はご自由に。
 11月1日に、次のお題(またはテーマ)を発表します。まだ考えてないので、いいアイデアがあったら投稿してくださいね。

 今週も連作(の改作)の投稿がありました。あとで仁尾智さんのブログに直接コメントを書きます。
連作「やらないでおく」 (仁尾智)

 シモネタは難しかったなあ……。こんな雑談が投稿されていたけれど、同感ですね。男と女は祖先がちがうんじゃないかしら。タヌキは犬の仲間で、アナグマはイタチの仲間なのに、見た目はそっくり……そういうふうに、ほんとうは別の生き物なのでは?
 深く考えてると下半身の元気がなくなりそうなので、すみやかに講評に移ります。

 あ、後藤グミさんのイラストは次回に採用しますね。

 今週は不調。甘く見て、しかたなく選んだ歌ばかりです。

タイヤには白いチョークが塗られてる 腰の動きで何とかずらそう (PDP)

 腰の動きで……。
 無理。

拒まれたらやめるつもりで恐る恐るだったゆうべが嘘みたいな晴れ (仁尾智)

 これは言おうとしてることはわかります。
 後半、もたついてない?

めくれない きみのヒミツをどうしても知るのが怖くてそのスカートは (犬飼信吾)

 責任とらされそうで……。

ポケットとポケットなしのドラえもん 付き合うのならどっちがいいの  (福々屋大福)

 ポケット!

狭い部屋 さっき食べてたベーグルのエビとアボカド干からびていく(緒川景子)

 エビとアボカドって、干からびるよね……。 

角ばった言葉をたくさん投げつけて 弱った君にむしゃぶりついた (岡本雅哉)

 弱らせてからでないと手におえなくて。

基礎編をすっとばされて応用を解かされているこれきりの人 (須部ニイル)

 応用はいいよねえ。

騎乗位は祈りのかたち祈りとは声を出さずにするものだろう (cocoa)

 声を出す祈りもあるよ。
 1文字あきをいれたくなりましたが、ぐっと我慢しました。下記参照。

遠足の朝は青空横切って一列に飛ぶタケコプターで (小野伊都子)

 この歌は、
遠足の朝は青空横切ってタケコプターで一列に飛ぶ
遠足の朝は青空横切って一列に飛ぶ タケコプターで
 のいずれかの表記が自然だと私は思う。
 1文字あきをいれるのは短歌として成立してないからだと、歌葉新人賞の選考会で指摘した選考委員が複数いて、じつは私は、その意見にはけっこう賛成です。
 短歌を読み慣れていない読者のために、最初の単行本をつくるとき1文字あきを多用するスタイルに変えたのですが、もともと短歌をつくる段階では、1文字あきがなくても意味が通じるように言葉を並べようと腐心していました。(このままだと読むとき突っかかる! と私を叱ったのは、伝説のパンクバンド「タコ」の山崎晴美さんです)
 その「1文字あきを多用するスタイル」を踏襲し、さらに深めていった宇都宮敦さんの作品が、選考会で「1文字あきが多すぎる」と批判されたことに関しては、かなり枡野浩一に責任があるのかもしれない。でも、最初から1文字あきをいれる前提でつくった短歌と、あとから1文字あきをいれた短歌は別のものだという、当たり前のことに改めて気づかされた気もします。
 私は正直「かんたん短歌blog」において、「1文字あきをいれてください」と、いささかオートマチックに言い過ぎていたかもと深く反省しています。
 ただ、短歌を読み慣れていない読者を意識した短歌づくり、というのが「かんたん短歌blog」の目標であることに変わりはありません。
 『ドラえもん短歌』(小学館)において、短歌界ではふつう敬遠される5行書きの表記をあえて採用したのも、私が枡野浩一だからです。集英社文庫から出た佐藤真由美『プライベート』が、改行の多いスタイルなのは、べつに私が指示したからではありませんが(文庫版の企画には一切タッチしていません)、佐藤真由美は枡野浩一と似た問題意識を持つ歌人であるため、似たようなことを考えてしまうのでしょう。あるいは「一般読者」の目を意識した編集部やデザイナーの判断かもしれません。
 1文字あき問題に関しては、拙著『日本ゴロン』(毎日新聞社)でも論じたことがあります。ご参照ください。
 皆さんも、この問題について、それぞれで考えてみていただけると嬉しいです。

 宇都宮敦さんは、よく知らないんだけど、あれから海外に行ったの? もしそうなら、お身体に気をつけて。運動しなくても、心労のため痩せてしまうかもしれない。ネット環境が整ったら、また近況を聞かせてください。
 シモネタ短歌をもっとつくりたい人は、笹公人さんが出演するテレビ「爆笑問題のススメ」で、「かわいいシモネタンカ」を募集してるみたいなので、ぜひ投稿してみて。
 では、いってまいります! 

2005 10 26 07:55 午後 | 固定リンク | トラックバック

2005.10.24

< 歌葉新人賞、おめでとう! >

2005.10.07の記事で触れた、
歌葉新人賞の公開選考会、行ってまいりました。

結果は……、
笹井宏之さんが見事、受賞!!
宇都宮敦さんが2等賞に相当する「次席」に決定!!

なんと、
両者とも「かんたん短歌blog」の常連さんではないですか。
これはもう、枡野浩一の指導のおかげですね!

と言いたいところですが、
私は笹井宏之さんの、いい先生では全然なかったなあ……。
あなたのブログにも直接コメントしたけれど、
逆に遠回りさせてしまった感じというか。
今回、
加藤治郎、荻原裕幸、穂村弘といった選考委員に、
グッドタイミングで評価されて本当によかったです。
夏に青山ブックセンターでやったトークイベントでは、
辰巳泰子さんもあなたの歌を高く評価していました。
この賞を受賞すると短歌作品集を刊行してもらえるので、
笹井宏之さんはこれからしばらくちょっと大変でしょうが、
私も仕上がりを楽しみに待っています、
ご健闘ください!

宇都宮敦さんは、
私がかつてBBS(電子掲示板)を
運営していた頃から短歌を投稿してくれていて、
どうぞよろしくお願いします
(発行=マーブルトロン、発売=中央公論新社)
にも参加してくれています。
でも、
最初っから上手だったから、
なんにも教えてない気がしますね……。
むしろ、
私の教えのせいで評価が下がったとの印象も……。
もともと枡野浩一のファンだったわけではなく、
ある不純な動機で私のBBSを見ていたという宇都宮敦さん。
昔会ったとき爽やかな青年だった印象があるんだけど、
久々に会ったら……、
あなたが歌人として今一番すべきこと、
それは適度な運動だと思います。

せつない恋愛の歌をつくる以上は、
ちゃんとセック…、
いや、恋愛してそうな見た目を保たなきゃね。
(……こういうのってセクハラ?)
私もロデオボーイに毎日こつこつ乗ってますので、
一緒にがんばりましょう!

以上、
お祝いの言葉に代えさせていただきます。

いい選考会をありがとうございました。

2005 10 24 01:01 午前 | 固定リンク

2005.10.21

< シモネタ評その3 >

「短歌投稿のお約束」「トラックバックのお約束」をご確認の上、納得したら投稿してください。初投稿の方は筆名の読み方を書き添えてください。

イラストや写真の投稿も、短歌投稿の「お約束」に準じます。将来、枡野浩一の本に参加してもらえるようなクリエーターとの出会いを心待ちにしております。

10月のテーマは「シモネタ」。それから『ドラえもん短歌』(小学館)発売記念で、ドラえもん短歌も募集しています。そのほか、自由テーマの短歌も受け付けていますが、投稿は原則として1人あたり1週間に1〜3首程度にしてください。ひとつの作品を推敲して何度も投稿したり、以前の作品を改作して再投稿したりするのは、ご自由に……。短歌およびイラストや写真、そのほか雑談の投稿トラックバックURL: http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/6485189

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イラスト=後藤グミ
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 日経新聞を読んで「かんたん短歌blog」に来てくださった皆さん、はじめまして。
 初めて読むと面喰らうかもしれませんが、しばらく見ていれば事情がわかってきます。
 どうぞよろしくお願いします。

* 

 連作「風返歩道橋」 (古内よう子)

 今週、常連さんによる連作の投稿はひとつだけ。あとでコメントします、待っててください。
 連作、完成度高いのがいくつか集まったら、いずれ私の単行本で紹介するとか、したいなあ……。拙著『かんたん短歌の作り方』(筑摩書房)で連作を発表してくれた新鋭歌人のうち、4名(向井ちはる、加藤千恵、佐藤真由美、天野慶)が単行本デビューしています。
 私がプロデュースした、佐藤真由美のデビュー短歌集『プライベート』(発行=マーブルトロン、発売=中央公論新社)は今、集英社文庫になって書店に平積みされています。文庫版の制作は佐藤真由美本人と編集部に全部おまかせしたんですが、とても感じのいい仕上がりになっていますので、ぜひご一読を……。時間のあいたときに、コラム【読まずに詠むな!】でも紹介するつもりです。
 ちなみに加藤千恵『ハッピーアイスクリーム』(発行=マーブルトロン、発売=中央公論新社)も、文庫になってますよ! こちらは中公文庫(監修=枡野浩一、解説=谷川俊太郎)。あわせてご一読を。
 彼女らに続け、佐々木あらら!! そして、あなたも……。

雨が降りぼんやり光立っていた僕の明日は消えそうだった (本原隆)

 自由テーマの投稿。
 なんとなく気分が伝わってきます。こういうタイプの投稿が少ないので目立ちました。
 「光立っていた」のあたりがやや不鮮明で、ここが詩的でいいとも言えるが、「光立っていた」とも「立っていた僕」とも読めるし、もう少し焦点を絞ったら? ピンの甘い写真を面白がる人も、いるけどさ。

暗記パン 最後にそれだけ置いてって 書きなぐり食う 君の思い出 (岡本雅也)

 ドラえもん短歌、この切り口はなかったね。

ずいぶんと頻繁に見ているようだ 「ワールドカップ」のラベルのビデオ (保井香)

 「ワールドカップ」面白いものね。 

きりぬきの上には枕 いつまでも来ない夢精を夢見る私  (鈴木なんとか)

 1文字あきは私が勝手にいれました。異議は受け付けます。
 改作の中では、これが素直でよかったかな。

百合 シャンパン なくなるものだけ贈られたい 苺 クラッカー 君のはなうた (沼尻つた子)

 まあ、合格点の改作でしょう。

歯磨きのかわりのミントガムみたく噛み捨ててきたおとこの子たち (沼尻つた子)

 沼尻つた子さんの課題は、合格点ラインにまとめる手際のよさから、一歩出ることです。もっと狂おしく! 

ひとすじもこぼさず飲むのが愛ならばあなたを愛したことはまだない (菅みち子)

 だとしたら、愛された男なんて、あまりいないよ。

いきそうな間際まぶたの裏側に出でよ学校一の美少女 (丸山太一)

 んー。笹公人さんぽいなあ。

気がゆるみ違う誰かを想ったりしないようにと目は開けたまま (振戸りく)

 過去の投稿作の、逆バージョンですね。

シャッターを幾度おしても生きている人だけ写る法要の席 (秋野道子)

 死んでいる人は、なかなか写らないよね。死体なら写るけど。

「予想より小さいね」って笑われる 口づけなどは猫背になって (松本陽樹)

 1文字あきは私が勝手にいれました。異議は受け付けます。
 この歌は主人公が男性か女性かで解釈がわかれる。作者が男性みたいな名前だけど……女性なの?
 そう考えると、なんの菅野さんの意見には、一理あるなあ……。世の中には男性同士のカップルも、女性同士のカップルもあるから、話はより複雑です。
 この歌の主人公が男性だとしたら、「小さいね」って笑われたのは、もちろん……。

久々に会ったケンジは種馬の良さを必死に語って去った (猪狩義久)

 次に会ったときは、種馬の悲劇を、必死に語って去った。
 (追伸。「良さ」という言葉のチョイスは、日本語としてあまり的確ではありません)

バスが揺れるたびにあなたが香るんだ 困ったな もうついてこないで (英田柚有子)

 この語尾だと、『ドラえもん短歌』(小学館)のあの歌を連想する。困ったな。でも、気持ちはわかる。

 今週は以上。
 投稿の回数のルールはちゃんと守ってください。短歌はルールの中で勝負することが大切です。

2005 10 21 03:30 午前 | 固定リンク | トラックバック

2005.10.16

< コラム【読まずに詠むな!】第1回●早坂類 >

いい短歌をつくる秘訣をきかれたら、
「いい短歌をたくさん読むことです」
と答えるのが良心ある歌人。
もちろん数を読んでることだけが自慢で実作がいまひとつとか、
ありとあらゆる言葉を知って何も言えなくなるとか、
そんな馬鹿なあやまちはしませんよね?

これから時々、
私の好きな短歌本を紹介していこうと思います。
第1回目は……
風の吹く日にベランダにいる 〜早坂類歌集〜
(河出書房新社)。

ジャングルの夜にまぎれてドーナツとアイスクリームを食べている。風。 (早坂類)

「短歌に句読点はいらない」
と常々言っている私ですが、
この歌は大好きです。
この短歌の出だしは当初「ジャングルの闇」だったんだけど、
推敲されて現在の形になりました。
「夜」のほうが蒸し暑い感じがしませんか?

何故僕があなたばっかり好きなのか今ならわかる生きたいからだ  (早坂類)

早坂類さんは女性。
女性が「僕」という一人称をつかったり、
なんの菅野さん(男性)が女性ふうの語尾をつかったりするのは
あまり感心しないのですけれども(なんのさん、冗談ですよ!)、
この歌は大好きです。
こういうことを言うのは男であってほしい、
という偏見が私の中にあるのかもしれません。
言うまでもなく偏見を持つのはいけないことですが、
詩歌をつくるとき、
人は自らの偏見から目をそらしてはいけないとも思う。

カーテンのすきまから射す光線を手紙かとおもって拾おうとした (早坂類)

この歌は加藤治郎の新刊
短歌レトリック入門 〜修辞の旅人〜』(風媒社)でも
紹介されている傑作です。
(『短歌レトリック入門』は短歌をつくろうとする者なら
読まないといけない1冊ですが、
書名がいささか謙虚すぎる気がいたしました。
私なら『日本語のレトリック 〜修辞は短歌に学べ!〜』とか、
もっと風呂敷を大きく広げて我田引水します。
加藤治郎自身の作品があまり引用されていないのも謙虚すぎ!)

「すきま」「射す」「おもって」など、
漢字と仮名のつかいわけが独特ですよね。
でも、これ以外だめなのと小声で言って唇を噛む、
作者の頑固な横顔が伝わってきそう。
加藤治郎も指摘していますが、
「光線」も「ひかり」とかではイメージがちがうのでしょう。

ちなみに、
穂村弘の入門書とは名ばかりの問題作
短歌という爆弾 〜今すぐ歌人になりたいあなたのために〜
(小学館)でも、
早坂類作品は紹介されています。
ほんとうは穂村弘はかつて早坂類の短歌について、
「玉石混交。そのことが逆に作者の天才性を証明している気がする」
みたいな意味あいのことを(同人誌「かばん」で)
書いていたはずなのですが、
その一文は『短歌という爆弾』では削除されてしまっています。
でも私はその削除された部分がいちばん
穂村弘らしく鋭かったと思う。

と、まあ、
多くの歌人に注目されているわりに、
多くの読者には知られていない歌人、早坂類。
そのデビュー短歌作品集『風の吹く日にベランダにいる』は、
現在事実上の「絶版」で、入手困難とのこと。
復刊ドットコムで復刊希望者の投票を募っていますので、
興味を持った方はぜひ1票を……。
http://www.fukkan.com

2005 10 16 02:34 午前 | 固定リンク

2005.10.15

< シモネタ評その2 >

「短歌投稿のお約束」「トラックバックのお約束」をご確認の上、納得したら投稿してください。初投稿の方は筆名の読み方を書き添えてください。

イラストや写真の投稿も、短歌投稿の「お約束」に準じます。将来、枡野浩一の本に参加してもらえるようなクリエーターとの出会いを心待ちにしております。

10月のテーマは「シモネタ」。それから『ドラえもん短歌』(小学館)発売記念で、ドラえもん短歌も募集しています。そのほか、自由テーマの短歌も受け付けていますが、投稿は原則として1人あたり1週間に1〜3首程度にしてください。ひとつの作品を推敲して何度も投稿したり、以前の作品を改作して再投稿したりするのは、ご自由に……。短歌およびイラストや写真、そのほか雑談の投稿トラックバックURL: http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/6387170

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イラスト=中野玉子
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 更新おくれて、ごめんなさい。
 いや、いつもココログ編集部に短歌(からブログへ)のリンク張り作業をお願いしてるんですが、いつもだったら「リンク作業完了しました!」ってメールが来るんですよ。ロデオボーイ乗りながらそれをぼんやり待ってたら土曜日になってしまったんだけど、じつはリンク作業、とっくのとうに終わってたみたい。
 担当者さんが女性なんだけど……やっぱり、シモネタだから?
 
連作「絵の具を溶くあいだ」 (百田きりん)
連作「軟着陸」 (伊勢谷小枝子)
連作「降りてもそこにありますように」 (緒川景子)

 えー、連作も届いてますね。連作に関しては個々のブログに直接コメントします。
 んー、連作の改作って難しいねえ。なおせばなおすほど、だめになる気もする。あと、自力でなおせない人は、傍から何を言ってもむだな気もする。身もふたもない意見ですかそうですか。

きみをみて一部元気になったのでプールサイドで三角すわり (犬飼信吾)☆

 前回の☆(お気にいりマーク)つき作品の再投稿。
 「キミ」が「きみ」になったりして、より感じよくなりました。
 三角すわりは「体育座り」とも言わない? ま、意味が伝わるからいいか?
 昔「文学座り」という秀逸な名前の演劇ユニットがありましたね。

どうしよう ひみつ道具の使い道わるいことしか思いつかない (カー・イーブン)

 そんなに面白くないけど、ドラえもん短歌の中に、あまりない視点だったから選びました。
 僕もエッチな使い道ばかり思いつきます。気が合うねえ!

よかったら使ってみてよ三次元ポケットだけど温かいから (カー・イーブン)

 これはまあまあ。
 三次元ポケットという言葉に辿り着いた点に1票。

目覚めたら隣に彼と見知らぬ男 わたしの穴が3つでよかった (くさのつゆ)

 ん? 男がひとり足りないのでは?

中にいるのはあなたではないけれどあなたが幸せならいいと思う (平賀谷友里)

 好きな男の、腕の中でも、ちがう男の、夢をみる、ですか?

この歳でセーラー服でバックから犯されている場合ではない (涼雨)

 「場合ではない」という着地の仕方が自然でいいと思った。もう前例あるかなあ。

とてもいい彼氏なんです いくときに「アウト!」と叫ぶくせがなければ (菅みち子)

 いい彼氏だねえ……。
 「セーフ!」と叫ぶときもあるの?

鼻ずさむ曲はなぜだか「エマニエル夫人のテーマ」 街はもうすぐ (岩波ラスミチ)

 街はもうすぐ、なに? 最後まで言って!

うしろからばかりを好むのは他に理由がある気がしてならない (根岸絹)

 顔が嫌いとか?

引き出しと押し入れひとつ空にして あなたを待っていた日曜日 (森雅湖)

 こうして唐突にドラえもん短歌が混じると心洗われるね。

重さなど覚えたあとでも消せるもの そんなにやさしくしないでいいよ (遠藤なお)

 いいの?

服はむろん肉も骨さえはぎ取って君とひとつになりたいすぐに (鮎彦)

 心にもないことを……。

さようなら 今日は何でもしてあげる 出し惜しむ理由なくなったから (なかいまさの)

 やったー!

焼肉の味がしたたるキスまではちゃんとおぼえているよ朝焼け (丸山太一)

 デザートも食べればよかった……。

ドラえもん いくらなんでもきみの手は私のポッケに入らないわよ (貴志えり)

 ポッケひろげマシーン!

いつまでも夢精が来ないいつまでも来ない夢精を夢見る私  (鈴木なんとか)

 これは後半だけ活かして前半は別の言葉にしてみてください。
 改作してくれたけど、その改作の方向性はちがうと思う。
 夢精はねえ、溜めても無理みたいよ……。

くちびるをバニラアイスでべったりとよごして作るからね きっかけ (宮田ふゆこ)

 それを無視する放置プレイするからね、よろしく。

ちんちんを指ではじいているうちに何の遊びかわからなくなる (英田柚有子)

 仕事かもね。

納屋臭い布団でだってできること十五のわたしに知られたくない (英田柚有子)

 納屋って……におい知ってるの?

含まれて形を変えるその人の心変わりも飲み込んでいる (紺野さちこ)

 吐き出したほうがいいよ。

避妊具の自販機だって知ってから逆にドキドキせずに通れる (笹本奈緒)

 な、なんだと思ってたの? やらしい!

巻き戻しボタンをいじって何回も君をいかせてしまってごめん (志井一)☆

 傑作!
 これは暗喩にも読めるし、即物的な描写にも読めるのがいいですね。

 というわけで、こうして選んだものだけ見ると、まあまあかな?
 佐々木あららの連作「佐々木クララ」を某若手歌人が気にいり、佐々木あららを見なおしたとのメールが届きました。愛されているようで、なにより。

2005 10 15 03:00 午前 | 固定リンク | トラックバック

2005.10.07

< シモネタ評その1 >

「短歌投稿のお約束」「トラックバックのお約束」をご確認の上、納得したら投稿してください。初投稿の方は筆名の読み方を書き添えてください。

イラストや写真の投稿も、短歌投稿の「お約束」に準じます。将来、枡野浩一の本に参加してもらえるようなクリエーターとの出会いを心待ちにしております。

10月のテーマは「シモネタ」。それから『ドラえもん短歌』(小学館)発売記念で、ドラえもん短歌も募集しています。そのほか、自由テーマの短歌も受け付けていますが、投稿は原則として1人あたり1週間に1〜3首程度にしてください。ひとつの作品を推敲して何度も投稿したり、以前の作品を改作して再投稿したりするのは、ご自由に……。短歌およびイラストや写真、そのほか雑談の投稿トラックバックURL: http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/6276481

礼儀として、投稿する前に1日1回は人気ランキングをクリック!

イラスト=後藤グミ
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 駆け込みで投稿してくれた中野玉子さんの絵もよかったけれど、あまりに駆け込みだったので時間の都合で、今週も後藤グミさんの絵(おしり星人)を選びました。枡野浩一の本の装幀をよく手がけている篠田直樹氏いわく、「この人は、もっとうまくなる。たくさん描いてみてほしい」とのこと。受験に差し支えない程度に、投稿続けてくださいね!

 常連さんに挑戦してもらっている連作、今週は以下の作品が投稿されました。

「佐々木クララ」 (佐々木あらら)
「無修正エデン」 (沼尻つた子)
「やらないでおく」 (仁尾智)
「どこにいるんだ」 (伊勢谷小枝子)
「降りてもそこにありますように」 (緒川景子)

 それぞれのブログに直接コメントを書き込んでいますので、ご注目ください。
 沼尻つた子さんは前作のほうが圧倒的によかったなあ……。仁尾智さんは、まとめて読むとネガティブな印象が強調されて損かな。伊勢谷小枝子さんは、ひとつの歌で同じ単語をふたつ以上つかうのをなるべく避けてみて。緒川景子さんは、へんに考えるとだめになりそうな作風なので、まずは弱い歌を捨てて完成度を高めることだけ考えて。あなたが歌いたいことは、いつかきっとまた別の形で歌になりますから、捨てても大丈夫。
 佐々木あららは、「かんたん短歌blog」の中で、いちばん単行本デビューに近い歌人かも。
 笹井宏之さんと宇都宮敦さんは歌葉新人賞でも候補に残っていますね。私は今回、公開選考会を観客として覗きにいくことにしました。皆さんのご健闘、お祈りしています! 

 今週も選べた短歌は少ないけれども、まあ、このくらいがちょうどいいのかも。
 短歌は数あっても仕方ないというか……。たったひとつの歌で一生持つくらいの歌が見たいというか……。



キミを見て一部元気になったのでプールサイドで三角すわり (犬飼信吾)☆

 原文では最後に「。」がついてましたが、私の判断で削除しました。異議申し立ては受け付けますが、短歌に句読点をつけるということは、散文に句読点をつけないのと同じくらい「特別なニュアンス」が出てしまうということを意識してくださいね。
 この歌は「一部元気になったので」という言いまわしが、よい。「一部」も「元気に」も健やかで。全体的にかわいい。
 おまけして☆(お気にいりマーク)です。

全部飲みほすのが愛のしるしなら夫を愛したことはまだない (菅みち子)

 これは「しるし」というのは文法的にはやや違和感があり、「あかし」と言うべきでは。大仰になるけど。「しるし」とも言う? パフィーの歌? だれかおしえてください。
 「夫」と限定せずに「あなた」とか「君」とかにすると、ひろがりがでるかもね。
 あと、出だしのところは、もっとリズムよく仕上げられるはず。

確か手を最初につないだのはあの日あなたの上で動いたときだ (槇野てる)

 そういうことって、あるかも。

もうまるで獣みたいでとか言うが獣はそんなとこしゃぶらない (薄荷洋子)

 ごもっともです。

一番にしたいことから果てしなく逆算を経て言った「おはよう」 (伊藤隆浩)

 やらしい!

伏線だ伏線 俺はいつだって裸のうえに服を着ている (伊藤隆浩)

 だから何なんだ! と言いたくなるところがいい。

 ……あ、こうして見ると秀作ぞろいな気もしてきた。
 次回も期待してます。

 自分の歌でシモネタのって、探してみたけど、あんまりないね……。
 「小説新潮」1998年12月号に発表した、歌人もりまりことの競作「セロテープ」(女視点の歌をもりまりこが、男視点の歌を枡野浩一が担当)の中に、こんな歌たちがある程度。
 (※雑誌掲載当時とは、いくつかの歌がちがっています、あしからず)

   連作「セロテープ 1/2」 (枡野浩一)

寄せて上げるブラをはずせばおもむろに広がり垂れる それも素敵だ

全身にくまなくキッス 耳にだけやり忘れたらもぎりとられる

さわるべきところではなくさわりたいところばかりをさわってしまう

しゃべるのは男ばっかり この口をふさぐ何かが足りないからだ

泣き顔に立っちゃいました がんばったあげくに勝ってしまった君の

あえいおう 瞬間たぶん右足がこむらがえりになる注意報

100℃だったとしたら今ごろは顔じゅうヤケドしていたはずだ

先っぽをしゃぶってもらう時にだけ愛されてると実感できた

終わったとみんな言うけどおしまいがあるってことは素敵なことだ

つるつるの二人の寝顔 脱ぎ捨てたTシャツに寝る猫に見られる


2005 10 07 02:00 午前 | 固定リンク | トラックバック