« 「短歌なふたり」(『ショートソング』)あとがき | トップページ | 公式blogスタート! »
2006.08.31
< 枡野浩一『ショートソング』(集英社文庫) >
枡野浩一、初の青春小説
『ショートソング』(集英社文庫)は、
11月発売予定です。
「短歌なふたり」という題で連載していた作品を、
出版にあたり、改題しました。
書名を決めかねていた私に、
多くの示唆を与えてくださった皆さん、
本当にありがとうございました。
皆さんと共に迷ったおかげで、
自分の真に進みたい方向を、
しっかり選べたと思っています。
*
書名はいつも著者自身が考えていると、
読者の方々は思っているかもしれませんが、
必ずしもそうではありません。
書名は版元が決めるもの、
と断言する版元の方もいます。
今回の『ショートソング』に限らず、
拙著のタイトルはすべて
私自身が納得して決めてきましたが、
それは書き手としては
恵まれたケースなのかもしれません。
*
『ショートソング』は当初、
いわゆる「企画物」小説として構想しました。
(企画および執筆協力=佐々木あらら)
が、
書き上がってみると、
意外と王道の青春小説になっていた……
そんな手ごたえが作者にはあるのですが、
いかがでしょうか。
生まれて初めて
長さのあるフィクションを書いたため、
いたらない恥ずかしい部分も多々ありますが、
もう二度と書けないくらい初々しく愛おしいと
自分で感じる部分もあります。
作中にいろんな人の短歌を
お借りできたことがいちばんよかったです。
とりわけ後半は、
皆さんの作品ありき……で、
ストーリーを進めていきました。
最後は登場人物ひとりひとりが
実在するかのような気分になって、
吉祥寺、鎌倉、渋谷あたりを
彼らと並んで歩いていた……
そんな錯覚すら残っています。
*
『ショートソング』。
「短歌」の直訳であり、インチキ英語ですが、
それがいつのまにか王道に見えてくるように、
この“歌”が遠くまで響くことを願ってやみません。
私の本はデビュー作から一冊残らず、
「企画物」だったはずです。
けれどもそんな私の「企画物」を、
当たり前の本として捉えている人も増えてきて、
そういう人は叱咤激励のつもりで、
「枡野さん、最近は企画物ばかり出してますけど、
また昔みたいに、普通の短歌集を読ませてください」
などと言ってくれるのです。
「普通の短歌集」!!
その言葉が聞きたくて仕事を
続けてきたのかもしれません。
『ショートソング』は
普通の、
王道の、
青春小説です。
どうぞよろしくお願いします。
http://the-dokusho.shueisha.co.jp/
*
「たずねびと」
駿河さくさん、
ここを見ていたら
枡野浩一までメールください。
ii@masuno.de
です。
どうぞよろしくお願いします。
2006 08 31 03:55 午前 | 固定リンク