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2008.02.18

< 天野慶寄稿『キタコウ/トウサク?/タンカキョウ』(2008年2月17日) >

バレンタイン・デー、
『ショートソング』(集英社文庫)の
主人公・伊賀寛介が
チョコ嫌いを表明したせいなのか、
今年は読者から一個も届きませんでした。
佐藤真由美さん(歌人)、
加藤千恵さん(歌人)、
天野慶さん(歌人)、
そして実の妹からは貰いました。
有り難う……。

さて。
バレンタインがらみでは、
ちょっと厄介な報告をする必要があるのです。
が、それはまあ後回しにして、
今回は天野慶さんからの寄稿を掲載します。

枡野浩一『かんたん短歌の作り方』(筑摩書房)
にも大きく登場している天野さん。
新刊『ウタノタネ』(ポプラ社)
http://www.1101.com/editor/2008-02-15.html
には枡野浩一との深い関係のことは
描かれていませんでした……。

その点はいささか不満でしたが、
全体的に、
珍しい試みに満ちた
新鮮な短歌入門書だと思いました。
詳しい感想を言おうとすると、
美点と同時に
細かい「気になること」が
幾つも浮かんでしまうというのが
天野慶の著作を目にしたときの
枡野浩一の特徴なのですが、
それは
「本づくりへの姿勢が
かなり似通っていて、
それでいて歌人としては
それぞれちがう地点を
めざしている」がゆえの
「宿命」
なんだろうと思っています。

第3章をとりわけ
興味深く読みました。
しっかし天野さんは短歌、
初めて投稿した頃から
選ばれてるんだね……。
そのへんが「初心者」の読者を
大いに戸惑わせてしまうのでは、
と危惧したりもしていますけれども、
天野慶さんは
『かんたん短歌の作り方』に
登場してくれたほかの新鋭たちと比較しても、
器用な書き手ではないと私は思っています。

ただ、情熱と行動力が、ずば抜けているのです。

この本を出すまでの
裏話を先日うかがいました。
皆さん、
天野さんがさらりと書いている第3章の
「行間に隠されている涙ぐましい出来事」
にも思いを馳せてみてくださいね。
どうぞよろしくお願いします。

ウタノタネ―だれでも歌人、どこでも短歌




天野慶寄稿(2008年2月17日)

『ウタノタネ』第3章「短歌の好きな、わたしのはなし」≪番外編≫

キタコウ/トウサク?/タンカキョウ

18.19yars old




芝居の帰り道、国立の駅前の本屋さん。
歌集が置いてありそうなコーナーへ立ち寄るのが、すっかり
習慣になっていました。
詩集と、俳句の本と、いっしょくたにあるのはやはり
古典か、俵さんの本。うーん、ここにもめぼしいものなし、と
目を落とした時に、平積みにされている2冊の本を見つけました。
『てのりくじら』『ドレミふぁんくしょんドロップ』?
見た目は絵本です。
どうして詩歌のコーナーに? あれかな、「みつを」みたいなのかしら、
と作者名を見ると「枡野浩一」とありました。
その名前には見覚えがありました。
たしか、高校の部室で読んで、足らずにこっそり家にもって帰ってまで
読んだ『水戸浩一遺書詩集/ガムテープで風邪が治る』を編集したひと!
あのひとも本を出したのか……、読んでみるとそれまで出会ったことの
ないような短歌がイラストといっしょに贅沢に、そしてキュートに並んでいました。
表面上の意味のわかる速度と、実感として感じる速度が違う。
わかりやすいけれど、普遍的なレベルまで研ぎ澄まされている。
簡単そうに見えて、全然簡単じゃない! と読み進めていたら、
あの水戸浩一さんの詩のフレーズが短歌になっていました。
ひ、ひどい! いくら親友とはいえ、他人の(それも死者の)言葉を
勝手に短歌にして発表するなんて!
枡野浩一、ひとでなし!
本を戻すと、ぷいとそのまま駅に向かい帰りました。

水戸浩一、という詩人の思考回路の曲がり方がとても好きで、
高校の先輩ということもあり、勝手に親しみを感じていました。
なので、なおさらむっとしたのです。
でも……。短歌、おもしろかったな。詩人にはならない約束は水戸さんと交わしたの
かな、
ちゃんと最後まで読んだら、そこの話も書いてあるかもしれないな……。
翌日、東小金井駅から電車に乗って国立まで、『てのりくじら』たちを買いに行った
のでした。

それから、雑誌の枡野浩一特集で「キューティ・コミック」誌上で、
「マスノ短歌教」という連載を知りました。女性向コミック雑誌で
短歌の連載? またこのひと変なことを。
コンビニで発売されている号を買いました。隣にある古本屋さんで
偶然バックナンバーもあったので買いました。
結社では出合えなかった「若い女性」の短歌が並んでいました。
この場所なら、「十九歳の女の子」である自分が浮くことはなさそう、
嬉しくなって、ハガキに3首書いて、送りました。
後に、いっしょに『テノヒラタンカ』として活動する脇川飛鳥さん、
そしてあこがれの存在である佐藤真由美さんにも、あの誌面で出会ったのでした。

『かんたん短歌の作り方(マスノ短歌教を信じますの?)』の本が出たり、
カルチャーセンターにゲストで呼んでいただいたり、生身の枡野さんに
お会いして、お世話になりながらも、
「水戸浩一=枡野浩一」と教えられるまで、ずいぶん長く「いいひとだが、
盗作するようなひとだから気をつけねば」と警戒レーダーが
無駄に作動し続けたのでした。


******


天野 慶


来週、23日から29日まで、
高円寺文庫書林で個展をします。
24日の午後にはトークイベントを考えています。
詳細は決まりしだい
http://blog.livedoor.jp/kei57577/
で報告します。


******


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2008 02 18 04:01 午前 | 固定リンク

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『ウタノタネ』の第3章、「短歌の好きな、わたしのはなし」≪番外編≫を 寄稿しました。 枡野浩一のかんたん短歌blog そう、才能のあるひとは黙っていても誰かが連れて行ってくれる。 でも自分はそうではないから、「はい」って手を挙げるのです。 真由美さんや....... 続きを読む

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