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2010.01.25

< 一月の中間発表3 >

(絵=後藤グミ)
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枡野浩一です。
元気ですか。私は疲れています。

『東京タワー短歌』展、
お休みになる日が二日間あります、ご注意を。
そして、会期中にぜひ観てみてください。

展示会場で東京タワー短歌、引き続き募集中。
ここ「かんたん短歌blog」へ投稿してくれてもオーケー。
東京タワー短歌のしめきりは2010年3月3日必着。

どうぞよろしくお願いします。

《「日経ウーマンオンライン」編集部と、
趣味が合わないことがわかってきたので、
今回は前回より甘めに選んでみました。》
という前回のコメントが
一部に波紋を呼んでしまったようなので、
補足説明をします。

「日経ウーマンオンライン」編集部と、
趣味が合わないということを枡野浩一は、
わりと面白いことだと思ってるんですよ。

『かんたん短歌の作り方』(筑摩書房)のもとになった原稿を、
「キューティ・コミック」誌に連載していた頃から、
あまり途切れることなく投稿短歌を拝読してきました。

こんなに現代口語短歌ばかり大量に、
長きにわたって見つめ続けてきた歌人も珍しいと思う。

NHKテレビ「スタジオパークからこんにちは」で
短歌を募集していたこともあるし、
NHKラジオ「ケータイ短歌(略称)」の初期にも
レギュラー的に出演していました。
テレビCMで短歌を募集したこともあります。
主婦雑誌で「主婦短歌」を募集したこともある。
すべて予選の段階から私が全作品、目を通しています。

ネットでもかなり初期から短歌を募集していました。
松木秀さん、斉藤斎藤さんなど、
のちに歌壇で活躍するようになった歌人も当時、
私の運営する電子掲示版に短歌や付け句を投稿していました。
まだ高校生だった頃の加藤千恵さんとも、
自分の掲示板で出会いました。

とにかく、
たくさん見てきたんです。
いわゆる歌壇の歌人の作品だって当然読みます。
(歌壇には枡野浩一を小馬鹿にして、
読まずに悪口言う人、多いですけどね!)

そうすると、
「こういう短歌はありがち」
というのがわかってきます。
ありがちな短歌は、
当たり前ですが、
面白く感じないんです。

しかし、
すべての読者が私ほど、
短歌を読んでいるわけではない。

私の理想とする短歌は、
「短歌に興味ない人も面白いと思う短歌」
です。

ここにジレンマがあります。

枡野浩一にとっては少し退屈でも、
「短歌に詳しくない人は面白いと思う短歌」
というのが、
どうしても、存在するのです。

『ドラえもん短歌』(小学館)を編んだとき、
篠田算が詠んだ、
ジャイアンが思春期をむかえる歌が嫌いでした。
私の感覚では、短歌として完成してないと思った。
言ってることは面白いんだけど。

しかし、
あまりにも読者の人気が高いものだから、
妥協して本にも収録しました。

私自身の作品でも、そういうの、あります。
作者本人は完成度が低いと思っているけれども、
どうしてもうまく改作できない。
そして妙に人気があり、
「あの短歌はどうして本にいれないの?」
と皆に言われる。
しかたなく、妥協して、短歌集に収録した……そんな歌。

三冊目の『ますの。』(実業之日本社)は、
最初の二冊に収録しなかった歌も、
あえて拾ってまとめた一冊でした。
三冊目は歌壇の歌人に比較的評価されたけれども、
私の判断でいちど没にしていた歌が多いのです。

常に私自身、
自らの評価すらも疑いながら、
揺れ動いています。

「日経ウーマンオンライン」編集部の
面白がった短歌が、
枡野浩一の選とちがっていた場合、
多少は、
その「ちがい」に心を寄せてみることも必要、
と考えています。

「妥協」なんて言うと、
未来が無限にあると信じている
若い皆さんは不潔さを感じるかもしれないけれど、
四十一にもなってみると、
「妥協点を見つけるときのセンスが大切」
と考えるようになってきます。

それでも枡野浩一の選は、
かなり、厳しいです。
歌壇の「プロ」と呼ばれる人々の短歌も、
私の基準で見たら面白くない作品ばかりなんです。

むろんそのひとつの基準が絶対であるわけ、ない。
歌壇にいる歌人たちの基準で判断すると、
枡野浩一の短歌は面白くないのでしょう。
(絶賛してくれた歌人もいますよ、
そのへんの話は近々書けたら書きます)

完成度の高さは、ひとつではないんです。
私は自分の責任において、
「枡野浩一はこういう短歌を面白いと思う」
という、
価値観の表明をしています。

そのことが、
私の中では当たり前になりすぎていて、
言葉足らずになっていた面はあったと思います。

が、
枡野浩一の選に納得できない人にまで、
「かんたん短歌blog」に参加して欲しいなんて
1秒も思ったことがありません。
むしろ参加しないでください!
そのほうがお互い幸福です。

選者は皆さんの短歌を選びますが、
そのまえに皆さんが選者のことを選べるんですよ。

ただ、
迷うこと、
揺れ動くことも大切だと考えます。
「どうしてこの短歌が選ばれてないの?」
と、あなたが心から思う場合は、
そのことをなんらかの方法で
枡野浩一にしつこく伝えてください。
他薦、自薦を問いません。

しかしながら、
「その短歌を選ばなかった理由」は、
「かんたん短歌blog」では一々明かしません。
そこまでの対価を得ていないからです。

(↑こういう書き方が「一言余計」だと思う人も
多いのでしょうが、正直であることは欠陥だらけの私の、
数少ない美徳のひとつだと信じているので曲げる気はありません)

枡野浩一短歌塾では、
「その短歌を選べない理由」も明かしています。
どうしてもという方は、そちらへの参加を検討してくだい。
ただいま第二期の準備中です。
くわしいことが決まったら、公式ブログに書きます。

私は今、
ついったーで毎日、
短歌をつぶやいています。

5000人以上もの読者が現在フォローしてくれています。
5000部も売れない文芸誌だって多いのに。

日々うまれる短歌の質がどうなのかと問われたら、
とてもとても、
胸をはることはできません。

と言っても枡野浩一の実力は、
もともとこのレベルなんです。
毎日大量に詠み、
狂おしいほど時間をかけて厳選し、
短歌集を編んできました。

二十歳から二十七歳までの作品を、
デビュー短歌集二冊にまとめましたが、
二冊あわせても収録作は百首にも満たない。
そのペースはその後も特に変わっていません。

世の歌集を読んでいて不思議なのは、
「なんて歌の数が多いんだ!」
ということです。
「なぜそんなに自作に価値があると思えるんだろう?」

私は短歌って、
そんなに数はいらないと思ってるんです。
自作を含めて。

今まで没の歌は、人目にさらさず葬ってきました。

しかし、
ついったーでは、
たとえ失敗作かもしれない歌であっても、
そのつど発表してしまおうと決めました。

そのように決めた理由はまた、
いつか詳しくお話する機会も訪れるでしょうが、
ひとことで乱暴に言うと、
命の有限性を激しく実感する年齢になり、
もったいぶっていてもしかたないと思ったから、
です。

ついったー短歌の、
出来のよくない歌を恣意的にとりあげられて、
「こんなのを詠んでるやつが人気歌人?」
と批判されてもまあ、しかたないです。
これから自分の納得できる作品を厳選して、
また短歌集を編みたいと思っていますけども。
出版社募集中!

もし、
私がうっかり急逝したりしたら、
全作品を本にまとめるなんていう愚かなことはせず、
くれぐれも歌を厳選してくださいね!
頼んだよ、佐々木あらら……。
これを遺言とします。

『ショートソング』(集英社文庫)の
主人公の伊賀寛介も言っていますが、
これから短歌を始めようとしている皆さんは、
先人たちの代表作を
超えていくべき新しい歌人なんですよ。

選者の駄目なレベルの歌など、目標にしないでください。

前置きが長くなりました。
以下、中間発表です。

掲載順は、投稿順。
ただし、
トラックバック投稿の入選作→ついったー投稿の入選作
の順になっています。

前回の中間発表で、
スルーしていた作品の一部を今回、
敗者復活させてみました。
(「日経ウーマンオンライン」編集部との相談で……)
以後もそういう配慮はしていきます。
簡単にあきらめず、
投稿を続けてみてくださいね。

東京は色が溢れて簡単に自分を見失えそうだった (都季)

破けないあなたがくれたてぶくろが 軍手代わりに使ってるのに (キヨタ)

東京で見える星座は他のより戦闘力が高いと思う (篠原謙斗)

なんとなく分かってきたの道端にミッキーマウスを捨てるわけとか (高田ほのか)

奢るから!とか言われてもテレビつけコンビニ弁当食べるからいい (高田ほのか)

強い気持ち強い愛とかない方が生きやすいかも カタカナでも可 (檀可南子)

ふーんそうパパになるんだよかったね ママにならない私だけれど (檀可南子)

分の悪い賭けではないが賭けなくちゃダメな時点で負けとも思う (若崎しおり)

居所がもう私には少なくて台所には片足で立つ (宮前景樹)

逢える日に一番キレイになれるよう逆算しながら今日爪を切る (高田ほのか)

東京にいる妹は幸せそう あたしと同じ顔のくせして (おとも)

 ↑「後世の人が検索したときにあなたに辿り着ける筆名」を考えてみませんか?

人肌の温もりとくと思い知れ 便座の暖房切るレッスンで (宇津つよし)

過ぎてゆく海を見ている 少しだけ好きだった人なんかいない (瀬波麻人)

 ↑字足らずだが、これは充分考えた結果の決断である気がします。

気がつけば東京の人になっており心配事も東京にある (古川亜希)

本日もあなたのことが好きでした 買えるものなら買いたいくらい (is)

あのときに祈ったことは忘れたわ安産祈願じゃないのは確か (松下知永)

結局は伝えなかった「ごめんね」の言葉に風呂場でエコーをかける (町上由樹子)

なにひとつ話せずにいた 不意打ちで東京タワーが見えなかったら (仁尾智)

 ↑長瀬大のチョコレート短歌と構造が同じ歌です。『ショートソング』(集英社文庫)参照。

おかえり!と駆抜けてゆく商店街 似合いはじめたプラダの靴で (緒川景子)

一緒にはなれない人と前を見た 夜景に東京タワーもあった (宇野恭子)

すきなひとにすきとつたえるまっすぐさがほしい 東京タワーの背骨 (後藤グミ)

離婚する時にも「それはちょっと」って言うよ 死ぬまでワガママだから (あみー)

地下鉄のカラフルすぎる路線図に出口不明の東京の夢 (山根尚子)

泣いているように笑っているような小沢健二が歌うさよなら (岡本雅哉)

君の顔見える位の距離が良い、糸電話なら赤い糸です。(菊池洋勝)

誰のものでもないはずの背中から東京タワーが見え隠れする (鈴木真秀子)

とりあえず19時半まで働くか キミの「腹へらない?」待ちながら (名なし/そらうみ)

 ↑「うにまる」さんの筆名について考察した拙著『日本ゴロン』(毎日新聞社)参照してください。

地下鉄に窓ある無駄を思いつつ東京という無駄思いつつ (山田露結)

夢見がち寒空の下カン違いしがちがちがち鳴る歯こらえて (菅野さやか)

片思いふたつそろえば両思い どちらかひとつ欠けて失恋 (yako)

立っているだけで結構喜ばれ もう座れない東京タワー (ごみたゆうこ)

返信がないだけだのにあれこれと、自分の欠点数えて待つ。(菊池洋勝)

 ↑字足らず……よくよく考えての最後の選択でしょうか。

アンコールしていたことも忘れてた子猫ちゃんたち鳴いてもいいよ (is)

誰よりも醜いなんて思うのは、世間知らずの僕の傲慢。(菊池洋勝)

気がつけば東京駅でこれ以上新幹線を乗り過ごせない (後藤グミ)

スケジュールぎりぎりまで
悩みに悩んで選をしているため、
たいへん申しわけないですが、
「日々経る短歌」に掲載する歌とその作者は、
事前に「かんたん短歌blog」では発表できません。
あの連載で直接ご確認いただけると幸いです。

付け句「よい一年でありますように」と
「オリジナルの新年の挨拶を短歌に」の
二つのお題以外のお題に関しては、
引き続き投稿を受け付けます。

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ついったーの投稿も拝読しています。
新しい投稿ルールをご確認ください。

ではまたタイミングをみて更新します。

2010 01 25 11:41 午前 | 固定リンク